ヒロインはやっぱり私じゃない(確信)【ヒロアカ】 (ページ3)

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第51話ページ3

男の方は完全に空を飛んでいた。
なんで綺麗に着地できんだよ。意味がわからん。

という私も、足が地から離れ目線が一気に高くなった感覚の後、運良く地面に着地することができた。
数メートル位飛んだ気がするけど……よく着地したな。自分でも驚いている。

一度や二度の拳では倒れず、怪物同士は残像だけがかろうじて見えるほど高速の殴り合いをし始めた。最早どちらもバケモノ以上だ。

手と膝をついて風に堪えるが、耐えるのがやっとだった。
上半身が後ろに持っていかれそうになった瞬間、私の腕を掴む手があった。
力強い、大きな手。

「おい踏ん張れカス！ぶっ飛ばされるぞ！」

『やー危なかったぁかっちゃんナイスー』

「脱力すんな重ぇわクソ豚!!」

『豚はよくないぞかっちゃん』

彼が後ろ手で私の腕を掴み、間一髪で私は後ろに転がることを免れる。

「私対策？私の100パーセントにも耐えるなら、さらに上からねじ伏せよう!!」

殴り合いはオールマイトを優勢にさらに展開していった。
地面をもえぐり返す程の破壊力。
それは、一発一発の重たさを十分に示していた。

『100パーセント、以上……』

口を開きながら、その姿をただ見ていることしかできなかった。
今じゃ優勢は圧倒的にオールマイトの方で、この時点でもう勝ちが見えてる。
オールマイトは脳無を地面に叩きつけ、上空に飛躍した。

「ヴィランよ……こんな言葉を知っているか……。更に向こうへ___Plus Ultra!!!」

跳ね上がった脳無の体に、渾身の一発が撃ち込まれる。
鳩尾に入った拳が脳無の半身を曲げて、打ち上げられた体は天井を突き破った。
その一発は、まさに全てを吹き飛ばした。
私たちの不安も、暗闇に包まれた絶望も。

『…………っどひゃ～……』

「コミックかよ……ショック吸収をなかったことにしやがった……」

激戦の跡は凄まじく、私達は呆然とその場に立ちすくむ。
オールマイトはどんなに服がボロボロになろうとも、その笑顔は崩さなかった。
平和の象徴の異名は、やはり侮れない。

「やはり衰えたな……。全盛期なら5発打てば充分だったのに……300発以上も打ってしまった。……さてとヴィランよ、お互い早めに決着つけたいね」

「チートが……!」

「クリアとかなんとか言ってたが……できるものならしてみろよ」

男はわなわなと肩を震えさせ、なにやらボソボソと呟くだけで攻撃を仕掛けてはこない。

オールマイトの、私達の、勝ちを確信した。