第6話 ページ8
「他人の思考も読み取れるんだったっけ？」
『はい。テレパシーの範囲は一応、目に見える範囲です』
「なるほど。じゃあ２つ目の“個性”を見せてくれたまえ！」
え、どうすればいいの？
「テキトーに物を壊していいさ☆ そこの本棚とか」
マジかよ。
『失礼(?)します………風力８っ！』
手のひらから吹き出した強風は本棚に直撃し、大きな音をたてて倒れた。
『うぉあっ!? すいませんっ!!』
壁に寄りかかっていた叔父は落ちてきた本と棚を避け、校長は感慨深そうにじっと私を見ていた。
「ふむ……やはり強力だね。じゃあ最後に____この雄英高校に入学したいと思うかい？」
『_____……はい！』
ここまで来たんだし、入学はできるならしたい。でもここはあの雄英だ。
そう易々とはいかないだろう。
沈黙に手汗が滲み、握り拳を膝の上で作った。
「………よし！ キミは合格なのさ！ おめでとう！」
『え……？ あ、えっと……ありがとうございます……？』
試験が、終わったらしい。
合格だった、のか……？
「これで面接は終わりさ！ しかし、ひとつお願い事があってね。すまないが君の試験はかなーりギリギリのグレーゾーンでね。くれぐれも試験内容は内密に頼むよ」
『わかりました』
退席するよう促されると、私は椅子から立ち上がり一礼した。
『失礼しました。…………』
ドアを閉めると同時に、緊張感から解放され、酸素を思いきり取り込む。
校長室に背を向け歩いているときも、私の心臓はいまだ落ち着かない。
５分くらいだったろうか。面接はあまりに呆気なく終わった。
あの雄英高校の校長から直々に合格と言われた。
本当に雄英に行くの？
優秀な子しか行けないようなところに、私みたいなのが？ 半端者が？
『………マジ、か』
本当に合格した。
不安もあるが、素直に嬉しい。
＊
「………本当にいいんですか。アイツ」
「うん！ 真っ直ぐそうな子じゃないか」
根津校長はいつものように HAHAHAHA！ と笑う。
「だが、あの“個性”が
「……はい」
それほど彼女の力は強力、裏を返せば危険ということ。
彼女も知らない可能性が、良くも悪くも彼女自信に秘められている。
「にしても、本当に似てないね！ キミと彼女!」
「姪っ子ですから」
「可愛いと思ってるんでしょ！」
「はい」
「正直だね！」
根津校長の高らかな笑い声が校長室に響いた。
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作者名：ペトリコール | 作成日時：2016年6月1日 23時
