ヒロインは絶対に私じゃない(確信)【ヒロアカ】 (ページ43)

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第41話ページ43

「はぁ!? 敵(ヴィラン)!? ヒーローの学校に入り込んでくるなんてアホすぎるだろ!?」

切島くん同様、私も訳がわからず混乱していた。
突如、何人もの物騒な装いの輩が噴水の中から出てきて、しかもそれはヴィランだという。
建物の侵入者センサーは作動していない。
そのことに気がついた轟くんは、この状況を冷静に推察していった。

「現れたのはここだけか学校全体か…なんにせよ、センサーが反応しねぇってことは向こう側にそういうことができる奴がいるってことだろ。
　校舎と離れた隔離空間、そこにクラスが入る時間____バカだがアホじゃねぇ。これはなんらかの目的があって画策された奇襲だ」

頭ではその意味がわかっていても、体は未だにすべき行動に移れていなかった。
大丈夫。私は冷静だ。みんなも混乱はしているが落ち着いている。

即急に相澤先生は13号先生へと避難の呼びかけと学校への連絡を図るように伝えると、この場を１人で凌ごうとしていた。
私達が戸惑っている合間に、彼は事態を的確に把握して判断している。
すごいなぁと、その後ろ姿をじっと見つめていた。

「１人で戦うつもりですか!? あの数じゃ……いくら“個性”を消すっていっても、イレイザーヘッドの戦闘スタイルは敵の“個性”を消してからの捕縛だ。正面突破は、」

「ヒーローは一芸だけじゃ務まらん。___任せたぞ、13号」

緑谷くんの案ずる声に答えて、彼は真っ向から敵陣へ降りていった。
私は何も言葉をかけなかった。

イレイザーヘッドの戦闘センスは凄まじかった。
まるで見応えのあるアクション映画を見るように、私はただ立ちつくしていた。
おじさん、すごいんだな。

「分析している場合じゃない!早く避難を！工藤くんも！」

『……うん』

緑谷くんと共に飯田くんに従いながらも、私は後ろを振り返っていた。
本人が言ってたとおり、きっと大丈夫だろう。
そう思って、前を向いたその瞬間。
私たちの動きを阻むようにして、正面に何かが現れた。

人の声をした、霧のようなもの。
ご丁寧にも、その敵は挨拶をしてきた。

「初めまして、我々は敵(ヴィラン)連合です。僭越ながら今回、ヒーローの巣窟雄英高校に入らせていただいたのは、平和の象徴オールマイトに生き絶えてもらいたいと思ってのことでして……」

報道されているようなただの犯罪者とは違う。
圧倒的未知の恐怖だった。
得体のしれない不安が脳内を支配した。

数時間前に戻りたい。
そう切に願った。