*＊gioventu＊*【ｲﾅｽﾞﾏｲﾚﾌﾞﾝ短編集】 (ページ16)

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#基山ヒロトページ16

ヒロト「俺は今朝、皆が朝ごはん食べてる時に父さんに呼び出された」

南雲「...その事が原因なのか？」

ヒロト「まぁ、落ち着いて。取り敢えず話を聞いてよ」

父さんは基本、俺を揺さぶるような事はしないし、言わないさ

───でも今朝俺が揺さぶられたのは、事実だ

原因が父さんで無いにしろ、ね

ヒロト「その時は何も無かったんだ。俺の将来についてとかの、他愛も無い話」

南雲「ふーん、で？」

ヒロト「俺は少し父さんと話し込んでしまって、食堂へ行くのが遅くなった。お陰で、今日の朝食は凄く寂しかったよ」

俺はそこで軽く笑ったのだけれど、南雲の表情はピクリとも動かなかった

───つまらない奴だな

俺は話を続けた

ヒロト「その、食堂からの帰り道だったんだ。俺が衝撃を受けたのは」

───...そう。"あれ"を目撃してしまったんだ

南雲「...その、衝撃ってのは一体何なんだ？」

ヒロト「......俺、見ちゃったんだ」

自然と口から乾いた笑いが漏れた

ヒロト「Aと、緑川が抱き合ってる所を」

余程予想外だったのだろう

南雲がﾋｭｳｯ...と息を吸い込んだのが分かった

ヒロト「あれだけ俺の事を好きって言ってくれてたAが。いつも一緒に居た緑川が

───自分の目が可笑しくなったのかと、本気で考えたよ」

そう。見間違いだと信じたかった

でも、現実はそうそう甘くない

ヒロト「その時、考えちゃった。───"嗚呼、俺はまた裏切られるのか"...ってね」

俺の母さん...本当の、母さんもそうだった

俺の事を散々愛してるとか言っておいて、自慢の息子なのだと言いふらしておいて

結局は俺を、このお日さま園に捨てたんだ

───...だから、人間なんて信じられないって思ってたんだ

此処に来たばかりの時は

でも、そんな俺の凍てついた心を溶かしてくれたのが、Aだった

俺もそんな彼女が大好きだった。愛情さえ抱いていた

ヒロト「───...なのに、こんなのって......！」

また目頭が熱くなってきた

嗚咽も自然と漏れ出す

南雲「───...ヒロト......」

ヒロト「...どうせ裏切るのなら愛なんて、教えないでよ...！」

俺は泣き崩れた

南雲はただただその背中を摩ってくれていた