機械か、人か ページ34
〜・〜・〜・〜
私たちはアンドロイドを見つかりにくいところに隠してこっそりその場を立ち去り、再びターゲットを探す。
だが、アンドロイド捜索担当のフーリッシュは辺りに目を走らせるだけで、そばを離れようとしない。
「さっきのがトラウマに？」
私は問う。そもそも機械にトラウマを含む"感情"などあるのだろうか。
自分の問いに問う。
「君は任務より僕を優先した」
「ああ」
「任務に支障をきたす」
「君を守ったのが間違いだと？」
「言い方を変える。もし僕が一味につかまり、危機的な状況に陥ったら、君はどうする」
「この銃は昔から人を守るために使ってきた。今回は君を守るために」
「僕は機械だ。
代わりなら工場にいくらでもいる」
「つまり、君は何が言いたいんだ？」
歳のせいか、思わず頭に血がのぼり、怒鳴ってしまった。人々の3/1がこちらを振り向く。
彼は揺るぎのない瞳で私を見つめ、言い放った。
「僕が拷問されようが壊されようが、君は任務に集中しろ」
言葉を失った。確かに彼は機械。その声も、ガラス玉に似た瞳も、人より凸凹した肌も───
すべて私たち人間の都合によって作り出されたもの。
命など元からない。
そう思っていたけれど、先ほどの彼の言葉が、若干怒りの混じったような声で。
不思議と、人間らしさを感じずにはいられなかった。正直、なぜ彼を助けに向かったのか、自分でも分からない。
でも何か、心が2つの壁にじわじわ圧迫されるような、焦らされるような感覚に襲われ、気づけばバー近くの人気のない部屋へ銃口を向けていた。
「任務を続行する」
フーリッシュはそう言い、立ち去っていってしまった。
私はその背中を唖然として見ていることしか出来ず、彼を止めようとする口は、寒くもないのに小刻みに震える。
首まで出かけた言葉を、グッと喉に押し込む。また、心が圧迫と焦りを感じ始めてる。
「・・・」
私はついにイカれたのか。刺激的すぎるモノを散々見てきたせいか？
彼が、人に見えて仕方が無い。
ああ、最悪な気分だ。
この先また彼を助けに行っても、きっと任務以外眼中にないのだろう。
でも、もし彼が目の前で襲われていたら？私は彼を見捨てることが出来るのか───？
「・・・無理だ」
〜・〜・〜・〜
「今のを聞いたかい、ミスター・トバイアスは任務よりプラスチックを優先した。
その正義が"私たち"にとって有利だということ───。
彼は勘づいていないようだ」
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クロユリ☆★(プロフ) - ここりどらすさん» わあ、嬉しいです！ありがとうございます(^^*) (2019年8月23日 1時) (
レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - 好きです。8点入れさせていただきました。 (2019年8月22日 23時) (レス) id: af90c931db (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - ぐうたら猫さん» ご報告ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2019年2月8日 18時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ぐうたら猫(プロフ) - こんばんは。誤字があったので、ご報告します。『彼の感情』の後半、機械が機会になってました。修正と更新、頑張って下さい！ (2019年2月8日 17時) (携帯から) (レス) id: e6816c78e0 (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - 夜桜さん» わかりました！拝見させていただきますね！ (2018年8月14日 19時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロユリ☆★ | 作成日時：2018年7月25日 13時
