ピストルと葉巻とライター ページ29
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すこし慌てた様子のハワードに、"急げ"とせかされながらジェット機の中へ入る。
見渡すと、そこは至って普通の内装だった。全体的に白く、壁のフックには様々なデザインのスーツが3着かけられている。
「わお・・・すごいな、これがエージェントのジェット機?」
私がハワードを振り返るが、彼は先ほどまでいた場所にはいず、コックピットへ一直線にズカズカと歩み寄っていた。
すると彼は、運転席にいた女性を小声で叱る。
声を小さくして気をつかっているハワードには悪いが、私は地獄耳なので、彼らの会話がよく聞こえた。
「毎回言うようだか、あの歓迎のメッセージはいらない。もし近くに敵がいたらどうする」
「気にしすぎよマッド。まったく心配性ね。あっ、あなた達が今回の任務の協力者?」
彼女は私たちに気づき、ハンドルから手を離し、その手をヒラヒラ振った。
が、そのせいで機体は大きく傾き、私とフーリッシュは壁に叩きつけられる。
「マイラ!」
「おっと・・・ごめんなさい。
でも人間失敗の一つや二つあるわよ。これも経験のうち」
「すまないね、大丈夫かい2人とも?」
ハワードは彼女のドヤ顔とセリフを華麗にスルーして私の手を取って立たせてくれた。
「ちょっと無視しないでよ」
彼女はムスッとした声で言う。
ハワードはそんなことなど気にも留めず、今度はフーリッシュの手を取って彼に微笑んだ。
昔から思っていたが、彼はなんて紳士的なのだろうか。むしろ欠点なんて無いくらいだ。
「彼女はマイラ・スミス。ときどき機嫌を悪くするが許してやってくれ。
ボーイフレンドと上手くいってないみたいで」
「ボーイフレンドは余計よ!」
今度は顔を真っ赤にしたマイラ。おそるおそる彼女に話しかけてみる。
「よろしくね。
私はリル・トバイアスだ」
「ええ、こちらこそ。そちらの彼は?」
彼女は目線でフーリッシュを示し、彼の自己紹介を求めた。
彼はすぐさまそれに気づき、答えた。
「フール・バッカス。ニックネームは好きなように呼んでくれ」
「そうね・・・リルはなんて呼んでるの?」
「フーリッシュと」
「じゃあ私もそうするわ。よろしくねフーリッシュ」
「こちらこそ、よろしく。ところでマッド、僕たちの装備は?」
「ああ、その壁にかかっているスーツさ。装備について説明するから、おいで」
彼はそう言い、座席のひじ掛けに化けたボードに暗証番号を打ち込む。
そこにあったのは小型のピストル、葉巻とライターだった。
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クロユリ☆★(プロフ) - ここりどらすさん» わあ、嬉しいです!ありがとうございます(^^*) (2019年8月23日 1時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - 好きです。8点入れさせていただきました。 (2019年8月22日 23時) (レス) id: af90c931db (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - ぐうたら猫さん» ご報告ありがとうございます!これからも頑張ります! (2019年2月8日 18時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ぐうたら猫(プロフ) - こんばんは。誤字があったので、ご報告します。『彼の感情』の後半、機械が機会になってました。修正と更新、頑張って下さい! (2019年2月8日 17時) (携帯から) (レス) id: e6816c78e0 (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - 夜桜さん» わかりました!拝見させていただきますね! (2018年8月14日 19時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロユリ☆★ | 作成日時:2018年7月25日 13時