Get on, agents!! ページ28
〜・〜・〜・〜
「彼女の息子が失踪したのは知ってるね。あれに関係しているんだよ」
顔を若干険しくしながら、彼は告げた。もしかして、ハワードは彼女の知り合い?
「ははっ、知り合いってわけじゃないよ」
私は思っていたことをダーツのように言い当てられ、肩を震わせる。
「心を読んだの?」
「エージェントの勘をなめないでくれ」
歯を見せず、上品に笑う彼。
フーリッシュは私たちの会話など眼中にもとめず、また彼に質問攻めをした。
「彼女の息子とあなたに関係が?」
「ああ、彼はマフィアよりタチが悪い"奴ら"にとらえられてる。
名は伏せさせてもらうが、私たちCIAが瞬きする間も惜しむほど懸命に追っている秘密結社だ」
「何のために子供を───」
私は彼がさらわれた事が疑問に思えて仕方なかった。
裏社会にその名を轟かせるハワードが追っている秘密結社が、至って普通の仕立て屋の息子を誘拐するなんて・・・。
「気のせいかな。
最高に嫌な予感がする」
私はたまらず言う。
「私はその最高に嫌な予感と一年戦ってる」
と、ハワードも眉をひそめて言う。
フーリッシュを見ると、パチパチパチと瞬きを繰り返した。なにか考えているのか?
「その予感を確かめに行く前にひとつだけ聞かせてくれ。
一年前から彼は行方不明に?」
「ああ・・・そうだよ。可哀想に。
最悪なことになってないといいんだが・・・」
・・・一年前から失踪?
フーリッシュの瞬きが増えた理由がわかった。どこか不自然だ・・・どこか───。
「警部!何をしている、早く行こう」
「行くって、どこに?」
「マッドに乗せていってもらうんだ。僕らも彼のように十分な装備が必要だろう。
これから僕たちは彼の最高に危険な任務に同行させてもらうのだから」
「同行、いつの間に許可を!?」
「任務は3人がかりで遂行するのが一番いい。私の自論だが、やりやすさを感じてる」
「と、言うことだ。ジェットはどこに?」
「ジェット!?まさかジェット機に乗って任務に行くのか?」
「観光用ジェットもいいが、あれだと任務のことを話せないし、何より狭い」
そう言い、ハワードが取り出したのは、何かのリモコン。今度は天井に向かってボタンを押した。
すると、外から飛行機独特の音が聞こえ、窓に早足で歩み寄り、空を見る。
空には───
"Get on, agents"
『乗れ、エージェントたち』
という文字が、飛行機雲で綴られていた。
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クロユリ☆★(プロフ) - ここりどらすさん» わあ、嬉しいです!ありがとうございます(^^*) (2019年8月23日 1時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - 好きです。8点入れさせていただきました。 (2019年8月22日 23時) (レス) id: af90c931db (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - ぐうたら猫さん» ご報告ありがとうございます!これからも頑張ります! (2019年2月8日 18時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ぐうたら猫(プロフ) - こんばんは。誤字があったので、ご報告します。『彼の感情』の後半、機械が機会になってました。修正と更新、頑張って下さい! (2019年2月8日 17時) (携帯から) (レス) id: e6816c78e0 (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - 夜桜さん» わかりました!拝見させていただきますね! (2018年8月14日 19時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロユリ☆★ | 作成日時:2018年7月25日 13時