ドン・コネリーの加勢 ページ15
〜・〜・〜・〜
ずっと話していると、ドンは、胡散臭いチェシャ猫のような笑みとは反対に"人がいい男、ただただ単純に話しやすいアンドロイド"だと感じた。
隣ですっかりソファに沈んでいるフーリッシュは、つまらないとばかりにティーカップを回し、一向にドンと目を合わせようとしない。
「さて、そろそろ鑑定が終わる頃だ」
彼の言葉が終わると同時に扉が開き、ひとりの綺麗な女性アンドロイドが、ペンとコンピュータを持ってこっちに歩いてきた。
「鑑定が終わりました、どうぞ」
「ありがとう。さあ、好きに調べていいぞ。俺はコーヒーをいれてくる。
リル、二杯目行くか？」
「ああ、頼むよ」
「はいよ」
コーヒーカップを受け取ったドンは席を外し、部屋には私とフーリッシュだけが残った。
しんと静まり返る空間に、素早くキーボードを叩く音が響く。
「見つかったか？」
「ジム・フランツ。つい先月脱獄した凶悪犯罪者だ。これで犯人はわかった」
私はその名前と顔に目を見開く。
「フランツ？昨年私の部下だった男だ！」
「ヤードの中で何かしでかしたか？」
「いいや、普通の男だった。昔はビジネスで成功していたと言ってたな、たしか一昨年人間の女性と結婚すると・・・彼女の名前は───
ジェレミー・ピクター」
ほんの0.1秒、時間が止まった。私は今とてつもなく大きな目をしているだろう。瞳が乾くのを感じる。
すべてが繋がった。
フーリッシュは、コンピュータを乱暴に閉じると、今までにないほどの満面の笑みで私に問いかけた。
「手錠の準備は？」
「バッチリだ」
私たちは高ぶる気持ちのまま、暴風のように部屋を出ていった。
しばらく社内を走っていると、ちょうどふたつのコーヒーカップを両手に持っていたドンに鉢合わせる。
「ドン、犯人が見つかった。だが警部のボディガードが足りてない」
「ひひっ、素直に言えよ」
ドンは、そこら辺を歩いていた女性アンドロイドにコーヒーを渡し
ポケットからピストルをのぞかせ、三日月のような笑みを浮かべた。フーリッシュは返すようにニタリと笑い、私に言う。
「警部、彼の居場所を教えてくれ」
「勘だと言ったら恨むか？」
「長年の警部の勘をナメてはいない」
「分かった、付いてきてくれ」
私は、人生で初めて車椅子を懸命にこいで、こいで、こいで───。
走った。
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クロユリ☆★(プロフ) - ここりどらすさん» わあ、嬉しいです！ありがとうございます(^^*) (2019年8月23日 1時) (
レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - 好きです。8点入れさせていただきました。 (2019年8月22日 23時) (レス) id: af90c931db (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - ぐうたら猫さん» ご報告ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2019年2月8日 18時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ぐうたら猫(プロフ) - こんばんは。誤字があったので、ご報告します。『彼の感情』の後半、機械が機会になってました。修正と更新、頑張って下さい！ (2019年2月8日 17時) (携帯から) (レス) id: e6816c78e0 (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - 夜桜さん» わかりました！拝見させていただきますね！ (2018年8月14日 19時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロユリ☆★ | 作成日時：2018年7月25日 13時
