22世紀の名探偵 ページ7
〜・〜・〜・〜
現場では、すでに部下たちが床を這いながら、すみずみまで調べあげていた。狭い部屋に、ある程度の人数。
これなら証拠も踏み荒らさず、慎重に捜査ができるだろう。
ふと横を見ると、フーリッシュの瞳がカメラレンズのように縮んだり、広がったり、忙しく形を変えていた。
時折なにかをスキャンするような音が彼から聞こえてくる。その瞳にはハッキリと文字が浮かび上がっていた。
この状況を見て、私が21世紀の人間だったら驚いていたかもしれない。
ああ、言い忘れていたが───
今は22世紀前半だ。
そしてみんなはフーリッシュの事を何者だと思っているだろう、察しのいい人はもうお気づきかもしれないが───
フーリッシュはアンドロイドだ。
この世紀には事件解決のため高知脳なアンドロイドが作られている、彼もその一員だろう。
「好きに歩いていいぞ」
「言われなくてもそうする」
そう言うとフーリッシュは、さまざまな場所を詳細に調べる他の捜査官とは違い、一定の場所に食いついた。
彼が飛びかかったものは"Ｊ.P"のイニシャルが彫られた高価な机の棚だった。
「クリップ」
「はいよ」
無言でクリップを受け取ると、フーリッシュは黙々とピッキングを始めた。
普通の人間なら30分はかかるものを、彼はほんの3分で終わらせて見せた。
「やはりあった・・・高価なペンだ。匂いからして19世紀後半に作られたもの───
ジェレミー・ピクターという名前が何かの文字に上書きして彫られている・・・被害者の名前だ。このペンはおそらく元は他の誰かの所有物だった」
声の表情ひとつ変えず推理・・・いいや、分析を語るフーリッシュ。
そしてこの場の誰も思いつかなかったであろう主張に、一同は息をのむ。
「じゃあこれは盗まれたもの？」
「いいや、買ったんだ。被害者のためにこんな高価な骨董品を買えるのは一部のビジネスマンだけ・・・
つまり彼女と関わりが深い人物だ」
「恋人？」
「可能性は50％だ」
「そんなに低いものなのか？」
「まだ発掘されていない新たな可能性を考えれば50％だ」
するとフーリッシュは、ペンをジップロックに入れて保存し、ペンの構造や指紋を、水色の瞳でコピーし、自分の頭脳にも証拠を埋め込んだ。
「用は済んだ。行くよ警部、まだやることが山のように残ってる」
そう言うと彼はまた、そそくさと部屋を出ていってしまった。
「車椅子の私の身にもなってくれよ・・・」
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クロユリ☆★(プロフ) - ここりどらすさん» わあ、嬉しいです！ありがとうございます(^^*) (2019年8月23日 1時) (
レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - 好きです。8点入れさせていただきました。 (2019年8月22日 23時) (レス) id: af90c931db (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - ぐうたら猫さん» ご報告ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2019年2月8日 18時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ぐうたら猫(プロフ) - こんばんは。誤字があったので、ご報告します。『彼の感情』の後半、機械が機会になってました。修正と更新、頑張って下さい！ (2019年2月8日 17時) (携帯から) (レス) id: e6816c78e0 (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - 夜桜さん» わかりました！拝見させていただきますね！ (2018年8月14日 19時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロユリ☆★ | 作成日時：2018年7月25日 13時
