壁一面の芸術 ページ40
〜・〜・〜・〜
「やばいな、どうやって乗り切る?」
なん10年間も警部をやっていれば、ある程度の状況下では冷静でいられるが、さすがに炎の広がっている面積に、若干パニックになっていた。
向こう岸には4m近く距離がある。
「消火機能がついてる、ドン」
フーリッシュはドンを協力をあおぐように振り返るが、彼の答えは"NO"だった。
「俺は事件捜査に特化したモデルじゃない。そんな機能あるように見えるか?」
「ああ、そうだった」
皮肉を詰め込んだような言い方。フーリッシュは手のひらから水を放出するが────
炎は一向に消える気配がない。
「水を通さない炎?」
ハワードは消えることのない炎を、オーシャンブルーアイにハッキリと映し言った。やはり、その声の表情は怒りに満ちている。
何をそんなに怒っているのか、そう言おうとしたものの、第一声はフーリッシュの怒号によってかき消された。
「全く消えない」
「特殊な炎なのか?」
ハワードが食いつくように言う。ドンは、いつの間に持っていた水を飲んで、その炎をまじまじと見つめている。
・・・待てよ。
「ドン、水を貸してくれ」
「構わないが」
私は受け取った水を燃え盛る炎に一滴残さずぶっかけた。すると炎はシュゥゥ〜と音をかけて、煙と共に消えていった。
「俺の水だぞ」
「すまない。でも飲みすぎは良くないぞ、得にアンドロイドには───
この水、どこで手にいれた?」
「ファッションショー近くで配ってた。水って味ないんだな」
ファッションショーの近くで配られた水が炎を消した・・まさか、これはパーティ会場の企みなのか?
「炎が消えたのはいいが、あっちまでどうやって行く?4m近くはある」
「いいや、先へ進む必要は無い」
彼の目線をたどると、さっきまで炎のあった場所にエレベーターが。よく溶けずにこんな大きいものが残っていたな。なにかトリックでも───
そうこうしているうちに、フーリッシュはエレベーターに乗り込み、目を少し見開き、合図する。
私はハッとしてそれに気づき、エレベーターに乗り込んだ。
〜・〜・〜・〜
目の前に広がった不気味な光景に身震いする。
壁には、パッと見何を意味しているか分からない不思議な絵が額縁に飾られていて、その絵の前には赤いロープパーテーションが。
永遠と続く長い廊下の壁に、隙間なく埋め込まれた絵を見て、息が詰まる。
「どんなに大きい美術館も、展示数じゃここには適わないだろうな」
と、私はこぼした。
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クロユリ☆★(プロフ) - ここりどらすさん» わあ、嬉しいです!ありがとうございます(^^*) (2019年8月23日 1時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - 好きです。8点入れさせていただきました。 (2019年8月22日 23時) (レス) id: af90c931db (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - ぐうたら猫さん» ご報告ありがとうございます!これからも頑張ります! (2019年2月8日 18時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ぐうたら猫(プロフ) - こんばんは。誤字があったので、ご報告します。『彼の感情』の後半、機械が機会になってました。修正と更新、頑張って下さい! (2019年2月8日 17時) (携帯から) (レス) id: e6816c78e0 (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - 夜桜さん» わかりました!拝見させていただきますね! (2018年8月14日 19時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロユリ☆★ | 作成日時:2018年7月25日 13時