新たな生活、彼との暮らし ページ21
〜・〜・〜・〜
あの後、私たちは家に戻り、暖かい紅茶とスコーンを囲んで雑談をしていた。だがなぜか、フーリッシュはどこか不機嫌そうだ。
「どうしたんだ？大仕事を終えたっていうのに、何か不満が？」
「犯人をとらえたのはドンだ。僕が捕まえなければ意味がない、プログラムに反する」
「まあまあ、いいじゃないか。
君はこうして犯人を追い詰めて"兄弟"と協力し、事件を解決できたんだ」
「あいつは兄弟じゃない」
彼は無愛想に目を伏して、そっぽを向く。そんな彼に私は茶化すように言った。
「君の口は反対言葉がよほどお好きなようだ」
フーリッシュは唇をムッと尖らせると、紅茶をすべて飲み干し、スコーンを三つ頬に詰め込んだ。
頬が膨らむその様はまるでハムスターのようで、しぜんに笑みが溢れ出る。
「ひゃひがおもひろい(何が面白い)」
「あはは、食べながら喋るなよ。ごめん、ちょっとおかしくなってね」
彼はまだ頭の上に"？"を浮かべてちょっぴり首をかしげて私を見ていた。
その後は警部部下関係ない、普通のルームメイトとの時間だった。普通に夕飯を食べて、普通にテレビを見て過ごして───。
互いに新しい生活に戸惑った。まず最初の難点となったのは、彼の部屋だ。
「えっと・・・同じベッドで寝るわけにはいかないよな。
そうだ！空き部屋があるんだ、まだ使ってない部屋さ、そこを使ってくれ」
「必要ない」
「なんだって？」
「僕は充電とメンテナンスさえあれば健康状態だ。君が必要ならスリープモードに」
「じゃあつまりは、コンセントだけあればいいって事か？」
「ああ」
「・・・あの空き部屋、コンセントないんだよ。リビングとキッチンとここにしか」
「ここで寝る」
フーリッシュは自分の脇腹から充電らしきものを取り出し、それをベッド横のコンセントに刺し、ひとつ小さなため息をついた。
「本当にそれだけでいいのか？」
「十分だ」
「そうか・・・」
五分後────。
10分後────。
30分後────。
彼はずっと真顔のまま突っ立っている。
彼にとって睡眠は必要の無いものなのだろうが、そのまま立っていられたらこっちは幽霊かと思って眠れない。
「・・・フーリッシュ、そのカウチ貸してあげるからそれで寝て」
「なぜ」
「君の充電器が下から君を照らしつけてて怖い」
結局は彼が折れ、私の横で寝ることになった。
これから彼との暮らしで色々変わることもあるだろうが、その時の私にはそれが楽しみで仕方なかった。
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クロユリ☆★(プロフ) - ここりどらすさん» わあ、嬉しいです！ありがとうございます(^^*) (2019年8月23日 1時) (
レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - 好きです。8点入れさせていただきました。 (2019年8月22日 23時) (レス) id: af90c931db (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - ぐうたら猫さん» ご報告ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2019年2月8日 18時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ぐうたら猫(プロフ) - こんばんは。誤字があったので、ご報告します。『彼の感情』の後半、機械が機会になってました。修正と更新、頑張って下さい！ (2019年2月8日 17時) (携帯から) (レス) id: e6816c78e0 (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - 夜桜さん» わかりました！拝見させていただきますね！ (2018年8月14日 19時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロユリ☆★ | 作成日時：2018年7月25日 13時
