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「よいせ!1個ぉ!」
「こちらもだっ」
「やるな、ちみっこ!?」
「ちみっこいうな、バカ直継っ!」
「そうですよ直継先輩。女性に対して失礼じゃないですか」
「そんなんだからソウジやブラウみたくモテたりしないんですよ」
「人と比べるな!悲しくなるだろ!」
「落ち込むこと無いよ。少女漫画なら主人公と付き合える性格。直継にヒロインがいればだけど」
「さりげなく一番ひでぇ!」
もとより暗いことばかり考えている私たちではない。
むしろ標準以上に明るくてタフな直先輩と、普段は言葉が少ないくせに、その先輩相手には1歩も引かないアカツキ、第一印象暗いのに実は明るいルナ先輩、ド天然なソウジだ。
きっかけとちょっとした手助けがあれば、先輩達とアカツキはみるみるモンスターを倒しはじめるし、ソウジは師範に敵を寄せ付けない。私だって流れ弾的モンスターに遅れをとったりしない。(私とソウジ、ルナ先輩に関しては、状況を楽しんでる節がある)師範の支援もあって、むしろ好調なくらいだ。
戦闘の勝手は違うが、有効な戦術は変わらないようで、大分戦闘に慣れてきた。
「よっこいせぇ!」
「はっ!」
鋭い掛け声。私たちはみんなベテランプレイヤーだ。
前衛3人も、もう、先ほどまでの戸惑いもない。
「これで終いか?」
「はい。周りにモンスターの影はありません」
そう答えると、先輩は大きく片手剣を振り回して、血液を拭うと鞘に収める。
「たくさん倒しましたねー。」
「ソウジ、私たちで周辺の警戒を行いますよ。すみませんが4人で回収お願いします」
脳裏の警告アイコンはその赤い色を、落ち着いたマリンブルーに変える。戦闘状態解除という訳だ。
先輩とアカツキは、倒したモンスターから戦利品を獲ようとしているようだ。毛皮をはぎ取るつもりなのだろう。
この数週間で身についたサバイバル感覚だ。
幸い、陽はまだ高い。
変事を見逃す可能性は低いだろう。
私たちが〈大災害〉と呼びはじめたあの日の出来事を境に、全てはすっかり変わってしまった。
大好きなあの世界のような「もうひとつの」現実。
その「現実」はつまり、私たちがさっきまで戦っていたモンスターであり、豊かな滅びの廃墟であり、がっつんがっつんと鉈を振り降ろして、獲物を解体している仲間たちだったりする。
肌寒いほどの森を渡る風も。
まだ残る戦闘の感覚も。
今となってはそれら全てが私の「現実」。
そう、あの日から。

CHAPTER.1〈大災害〉1→←3



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ヒトナ(プロフ) - あん子さん» ありがとうございます!暇な時間を見つけて、一刻も早く更新できるように頑張ります。 (2015年8月21日 1時) (レス) id: 5ceff24628 (このIDを非表示/違反報告)
あん子 - 面白かったです!更新頑張ってください。 (2015年8月21日 0時) (レス) id: 432de05c10 (このIDを非表示/違反報告)
ヒトナ(プロフ) - 水妖精さん» 水妖精さん、コメントありがとうございます!ようやく返信方法がわかったので返信させていただきます。面白いと思っていただいて光栄です。毎日とは行きませんが、一番更新を進めたい小説ですし、頑張ります! (2015年5月9日 0時) (レス) id: 5ceff24628 (このIDを非表示/違反報告)
ヒトナ(プロフ) - ありがとうございます!返信の仕方がわかり次第、ちゃんと返信させていただきます (2015年5月7日 22時) (レス) id: 5ceff24628 (このIDを非表示/違反報告)
水妖精 - 面白いですー。更新がんばってくださーい♪ (2015年5月7日 21時) (レス) id: 4ed4b034ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヒトナ | 作成日時:2015年4月25日 9時

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