検索窓
今日:8 hit、昨日:14 hit、合計:6,175 hit

降谷零のハムサンド ページ6

置かれた皿に乗るハムサンド、×5。

コトコトとカウンター席に並べられるアイスコーヒーも5つ。

そして、さぁ、召し上がれと言った零。…馬鹿だなお前は。俺達の事なんて視えてない癖に。

本当に俺達がいるかどうかなんてわからない癖に、そこにいるんだと、確信してしまうなんて。


『…いただきます』
「「「「いただきます」」」」


上手くなった料理に、様になってる安室透の姿。けれど表情は俺達が知っている降谷零で。

俺がいなくなってから、俺らがいなくなってから、どれほど無理をしたのだろうか。

美味しい筈のハムサンドよりも、零の心配が勝ってしまう。

勝手に浮き上がる5つのハムサンドを眺めて、心底幸せそうに微笑む零が。

とても痛々しく感じるんだ。


『…美味しいよ。警察学校の時よりも随分料理上手くなったな』
諸伏「オレが教えたからね」
伊達「にしても、他のハムサンドとは違う気がするな」
松田「ゼロにしては上手い方なんじゃねぇの」
萩原「生前食べてきた中で一番うまいよ降谷ちゃん!!」


こちらの声が、零に届く事はない。けれど零は、そっか、と言って笑った。

涙をこらえているのが嫌でもよく分かる。

___お前らなんだな、やっぱり。

なんて上ずった声で目を擦ると、景光が擦っちゃダメだよ!!と零の腕を掴む。

突然動かなくなった腕に目を向けて、それから。

心配してくれてるんだな、ヒロ、なんて言い出して。

誰が触ったかなんて、分からないだろうに。景光も驚いたらしくフリーズしてしまう。


『…穴埋め有難う、しんどかっただろうに』
諸伏「ゼロ…泣きたい時に泣かないと、しんどくなちゃうぞ…?」
萩原「降谷ちゃんってばいっつも無茶ばっかりするからねぇ」
松田「ったく、いつものゼロはどこに置いてきたんだよ、拾ってこい」
伊達「置いて逝ってしまってごめんなぁ…」


声は聞こえないけど、抱きしめたり、頭を撫でたり、背中を叩いたりして一方的に干渉する。

零は、衝撃が来る度にどんどん顔が崩れて行って、やがて泣き出してしまった。

その体にどれだけの負荷を書けただろう。僅か7年で友人が5人も死んでしまったのだ。

考えきれない程、辛くて、思い詰めていただろう。独りにしてごめんなぁ、零。

でも、俺たちは何時までもお前の傍に居るからさ。いざって時は助けるからさ。

…だから、


『ありがとう、零』
『「「「「御馳走様でした!!!」」」」』




___お前には笑っていてほしいんだ。この先も、ずっと。

安心安全な安らぎを求めて→←安室透のハムサンド



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (38 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
69人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

瑠碧(プロフ) - ちょっと目がウルっとしたり、6人のセリフに笑ったりしてました。 (11月11日 17時) (レス) @page9 id: f628332d4b (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 涙がボロボロ出てくる……。大好きです! (8月5日 4時) (レス) @page9 id: de2f826e82 (このIDを非表示/違反報告)
TAKE - めっちゃ好きです (7月18日 20時) (レス) @page9 id: 20d3cc00b9 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:晴色世界 | 作成日時:2023年6月30日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。