降谷零のハムサンド ページ6
置かれた皿に乗るハムサンド、×5。
コトコトとカウンター席に並べられるアイスコーヒーも5つ。
そして、さぁ、召し上がれと言った零。…馬鹿だなお前は。俺達の事なんて視えてない癖に。
本当に俺達がいるかどうかなんてわからない癖に、そこにいるんだと、確信してしまうなんて。
『…いただきます』
「「「「いただきます」」」」
上手くなった料理に、様になってる安室透の姿。けれど表情は俺達が知っている降谷零で。
俺がいなくなってから、俺らがいなくなってから、どれほど無理をしたのだろうか。
美味しい筈のハムサンドよりも、零の心配が勝ってしまう。
勝手に浮き上がる5つのハムサンドを眺めて、心底幸せそうに微笑む零が。
とても痛々しく感じるんだ。
『…美味しいよ。警察学校の時よりも随分料理上手くなったな』
諸伏「オレが教えたからね」
伊達「にしても、他のハムサンドとは違う気がするな」
松田「ゼロにしては上手い方なんじゃねぇの」
萩原「生前食べてきた中で一番うまいよ降谷ちゃん!!」
こちらの声が、零に届く事はない。けれど零は、そっか、と言って笑った。
涙をこらえているのが嫌でもよく分かる。
___お前らなんだな、やっぱり。
なんて上ずった声で目を擦ると、景光が擦っちゃダメだよ!!と零の腕を掴む。
突然動かなくなった腕に目を向けて、それから。
心配してくれてるんだな、ヒロ、なんて言い出して。
誰が触ったかなんて、分からないだろうに。景光も驚いたらしくフリーズしてしまう。
『…穴埋め有難う、しんどかっただろうに』
諸伏「ゼロ…泣きたい時に泣かないと、しんどくなちゃうぞ…?」
萩原「降谷ちゃんってばいっつも無茶ばっかりするからねぇ」
松田「ったく、いつものゼロはどこに置いてきたんだよ、拾ってこい」
伊達「置いて逝ってしまってごめんなぁ…」
声は聞こえないけど、抱きしめたり、頭を撫でたり、背中を叩いたりして一方的に干渉する。
零は、衝撃が来る度にどんどん顔が崩れて行って、やがて泣き出してしまった。
その体にどれだけの負荷を書けただろう。僅か7年で友人が5人も死んでしまったのだ。
考えきれない程、辛くて、思い詰めていただろう。独りにしてごめんなぁ、零。
でも、俺たちは何時までもお前の傍に居るからさ。いざって時は助けるからさ。
…だから、
『ありがとう、零』
『「「「「御馳走様でした!!!」」」」』
___お前には笑っていてほしいんだ。この先も、ずっと。
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瑠碧(プロフ) - ちょっと目がウルっとしたり、6人のセリフに笑ったりしてました。 (11月11日 17時) (レス) @page9 id: f628332d4b (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 涙がボロボロ出てくる……。大好きです! (8月5日 4時) (レス) @page9 id: de2f826e82 (このIDを非表示/違反報告)
TAKE - めっちゃ好きです (7月18日 20時) (レス) @page9 id: 20d3cc00b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:晴色世界 | 作成日時:2023年6月30日 18時