1話「queen or joker？」 ページ2
午前０時、私はパチリと目を開けた。
それは隣の給仕室から響く男達の笑い声のせいである。
貴)「.......どうせ今日も“ジョーカー・ゲーム”してるんだと思ってたんだけど...」
おそらく、いや確実にしていることは知っていたが、何をあんなに笑うことがあるのだろう。
あのゲームは暇つぶしには丁度よいが、私はわりかし飽き性のため数ゲームしてやめてしまう。
もちろん全ゲーム勝ってだが。
後頭部をばりばり掻きながら、すぐそばに掛けてあったシャツを羽織る。
私はこう見えても女なのだが、寝るときは襦袢も身に纏わず下着のみなのでよく貞操観念が低いと怒られた。
まあ親以外にそんな姿を見せたことなどないけれど。
そんな親も、母は他界し二度と会うことはなく、父は軍部のお偉いさんをしているためほとんど家には帰ってこない。
第一その家に私も帰ることは二度とはない。
そんな身の上話は置いといて、隣の賑やかな部屋に向かうべく、私はベッドから降りて床に足をつけた。
そのとき男性用のワイシャツの釦を全部閉めてから、ひとつ開けて部屋のドアノブを回した。
＊＊＊＊＊
給仕室にはすぐに着く。
中を覗くと想定していた通りの男が５人いた。
「...あれ、起こしてしまいましたか？」
「綾里さんもやりますか？」
端正な顔に人柄のいい笑みを引っつけて、最初に話しかけてきたのは三好と田崎だった。
今回この２人は傍観者側にいる。
二人共プレイヤー側にいる印象が強かったので少し意外だった。
貴)「別に狸寝入りしてただけ。...だいたい、このゲームで笑いが起きるなんて、また神永辺りを虐めてるのかなって思って来たんだけど」
「おい綾里！どういう意味だよ！」
三)「ああ、さっきの」
田)「あのときは罰ゲームをつけていたんだ。負けたのは神永じゃなくて波多野だけどね」
声を荒らげた神永に右目でウインクをして、だんまりな波多野を見る。
気づいてるはずなのに目線が合わない。
これは相当嫌な罰ゲームだったに違いないな。
貴)「あー、根性がひねくれ曲がった罰ゲームだったんだね。じゃあ勝ったのはもしかして...」
「まず、僕以外に誰が勝つっていうんですか？綾里」
貴)「実井くん意外いないヨネー、シッテタ」
実井の冷ややかな笑みに背筋が伸びた。
ついでにこの時間帯だというのに、頭が急に冴えてきた。
過去にあった実井提案の罰ゲームも思い出す始末だ。
この男は絶対敵に回せない。
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唯健(プロフ) - いずみさん» コメありがとうございます！亀更新ですが、そう言っていただけると嬉しくて頑張れそうです！ (2016年6月19日 2時) (
レス) id: cea3b1e957 (このIDを非表示/違反報告)
いずみ(プロフ) - 更新楽しみにしてます。頑張ってください。 (2016年6月19日 0時) (レス) id: bf5922610b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：唯健 | 作成日時：2016年6月18日 11時
