◇＿＿幻肢痛（義足） tg ページ32
※「高」表記
side taiga
「うん、特に問題は無いね。
義足の事とか、何か困ってることはある？」
今回の検査結果も問題無し。
そう聞いてほっと胸を撫で下ろすのも、もう何度目だろう。完治から、7年が経つ。
『うんまあ、相変わらず幻肢痛が酷くてさ』
「うーん、幻肢痛ねぇ」
高地先生は、もうずっとお世話になっている。
初めて聞いた“骨肉腫”という病名も、化学療法の説明も、切断手術の概要も、それから退院が決まったって知らせも。全部高地先生の口から聞いた。
『クラッチ、卒業できたと思ったんだけど
3ヶ月前くらいかな、駅で痛くなっちゃって
重心ぐらぐらだったんだと思う、
ホームの傍で膝折れしちゃって』
先生は「危ないよっ」と呟いた。
『それからなんか怖くて、
やっぱりクラッチは必要かなって』
「そっかそっか。無理は良くないからね。
どうしても片手塞がるけど、線路に落ちたらなんて考えたら先生、震え上がるよ」
『俺も。事故で死んじゃうなんて
それこそ治療頑張った意味ないし。笑』
それに、守りたい人が出来たから。
「…兎に角、幻肢痛は痛み止めも効かないからなぁ。マッサージとかはしてる？」
『うん、Aが毎晩』
「…A…？
ああ、そうだ、一緒に住みだしたって」
先生はなんだか嬉しそうだ。
『そうそう。なに、同棲の話どこから聞いたの？』
「あひゃひゃっ！笑
何年大我のこと診てると思ってんだよ〜
そのくらい聞こえてくるさ」
『ふぅーん、』
さてはPTの森本さんだな？
とか心の中で思ってみる。
『…あのね先生』
「んー？」
『救ってくれて、ありがとう、
ほんとに、うん…俺結婚するから。
だから、本当に、いつもありがとう』
先生は一瞬驚いて
じわーと、涙をためる。
やめてよ、俺も泣きそうになるから
「そっか、そっか、……
そっかおめでとう。
すごいね、大我が頑張ったからだよ」
『へへ、うんっ』
結局、二人で少し泣きあった。
またくるね、と立ち上がる。
「結婚式とか、考えてるの」
『うん、具体的にはまだだけど』
「そう。期待、しとくわ」
『へへっ。心配しないで、呼ばないとかないから』
「あそう？へぇ、嬉しいねー」
じゃあ、と扉を閉めた。
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晴(プロフ) - ゆっこさん» ご愛読ありがとうございます！大変励みになります。今後もよろしくお願いします！ (2020年8月10日 12時) (
レス) id: 924db004c7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっこ(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございます。 (2020年8月9日 18時) (レス) id: 354b579e15 (このIDを非表示/違反報告)
晴(プロフ) - りんご。さん» 申し訳ありません。現在リクエストは停止させて頂いております。募集再開の目処も立っておりません…ご期待に添えず申し訳ないです…作品、読んでいただきありがとうございます。 (2020年5月30日 22時) (レス) id: 924db004c7 (このIDを非表示/違反報告)
りんご。 - リクエストしても大丈夫ですか！ (2020年5月30日 22時) (レス) id: a530807534 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：晴 | 作成日時：2020年5月30日 17時
