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それからよく、互いの家を行き来するようになった。
君の家は 俺の住むワンルームから何駅も先にあって、毎週末電車を乗り継いでまであの映画館に行っている君がまた、俺には可愛らしく思えて仕方ないっての。
「大我、隣座ってよ」
「ん、いーよ」
君は、俺をソファに誘う。
隣に座ったら、手を繋いできた。
告白みたいなことはしなかった。
「きっと恋人なんだよ、俺達」
「きっと、ね」
そんな会話を交わしたくらい。
「ねえ大我」
「ん？」
「部屋、借りようよ。
毎日のように仕事帰り お互いの家行ってんだもん、もうそろそろ 良くない？」
何、同棲？
君がそんなこと 考えていてくれたなんて。
「いいよっ、一緒に住もう」
「ほんと？」
「うん。だけど、今より職場が遠くなるのはイヤ」
「ふふ、分かった。……っ、
今度の週末にでも、探しに行こうね、」
君はそう言うと、
「ちょっと、」と言って繋いでいた手を離した。
「…また痛いの？」
「んっ…」
右手で、腰の辺りを強く摩る君は、
痛みがあるようで 顔をしかめる。
「ほくと、」
「っ、だいじょーぶ、ごめんごめんっ。」
その頃、こうやって腰や背中を痛がることが多かった。だけどいつも 数十秒で落ち着いて、その後はなんてことないから、きっとただの腰痛だと 北斗自身も言っていた。
それなのに、……
「ってぇ、っ…」
「……ほくと？」
「っ…んんっ…うっ…」
「ほくとっ、ほくと冷や汗流れてるよっ？
痛み、ひかないの？」
「うっ、はぁっ、たい、…が、」
「ほくと、きゅ、救急車よぼっ
なんか おかしいよっ！すぐ病院行こう、ほくと！」
救急車の中で、北斗はずっと荒い呼吸をしていた。
サイレンの音が、頭に響く。
「ほくと、ほくとっ」
「はぁっ…せな、かが痛いっ…」
「もうすぐ着くから。もう少しだからね、ほくとっ」
どうか どうか何ともありませんように。
ただそう祈るしか無かった。
だけどその日、
君にくだされた診断は
_____膵臓がん ステージIV
今から、たった半年前のことだった。
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晴(プロフ) - 名前しずくさん» あとがきまで読んでくださったんですね(^^) 2人はこれからもお互いを想いやっているはずです…！ 長らくのご愛読、ありがとうございました！ (2021年10月5日 19時) (
レス) id: 924db004c7 (このIDを非表示/違反報告)
名前しずく(プロフ) - 金平糖を贈る意味がとっても素敵で、お話にも合っているなあと感じました。今までお疲れ様でした。 (2021年10月4日 9時) (レス) @page44 id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：晴 | 作成日時：2020年10月21日 20時
