検索窓
今日:5 hit、昨日:18 hit、合計:112,126 hit

ページ27

「へへっ…こんな顔で戻ってきたら、北斗びっくりしちゃうなっ」


そう言うと田中さんは、優しく微笑んだ。


「花火…するんでしょう?」
「はい、…でも、彼の体調と相談ってところです」
「隣接してる駐車場があるんです。今日はこの後、他にお客様のご宿泊の予定は無いですし、よかったらそこ使ってください」


「バケツとかもお貸ししますよ」と田中さんは言った。
俺はお礼を言って、きっと喜んでくれるだろう君の笑顔を想像した。


「いい夏にしてあげたいんです」
「…いい夏、」
「彼の、最後の夏だから。俺と過ごすって決めてくれたから、良い思い出たくさん作りたくて」



満開の菜の花畑を眺めて、出来たての美味しいパンを食べて、観覧車に乗って、映画を観て…

病室では見られなかった北斗の笑顔は、出発をしてから毎日のように咲いていた。
気づけば、宣告された一ヶ月はもう過ぎている。


「…北斗さんは、京本さんを笑顔にする力があるんですね」
「へっ」
「お二人でいる時、京本さんすごく嬉しそうだから。…今も、きっと考えてたでしょう?」


口元を手で覆う。確かに緩んでいて、恥ずかしくなった。


「私、人を好きになったことないんです。
今まで何人か女性とお付き合いしてきたけど、全然愛せなくて。…たぶん男性に対してもそうなんです」


「…だから、お二人が少し羨ましい。
愛しく思う相手がいると、人ってこんなに幸せそうに笑うんだって。」


持ってもらっていた荷物を差し出されて、受け取る。
田中さんはクシャッと皺を作って笑った。


「いい夏に出来ますように。
お二人の旅のお手伝いができて光栄です」

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (272 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
476人がお気に入り
設定タグ:SixTONES , 松村北斗 , 京本大我
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - 名前しずくさん» あとがきまで読んでくださったんですね(^^) 2人はこれからもお互いを想いやっているはずです…! 長らくのご愛読、ありがとうございました! (2021年10月5日 19時) (レス) id: 924db004c7 (このIDを非表示/違反報告)
名前しずく(プロフ) - 金平糖を贈る意味がとっても素敵で、お話にも合っているなあと感じました。今までお疲れ様でした。 (2021年10月4日 9時) (レス) @page44 id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2020年10月21日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。