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「本当に言ってるの？」
高地先生は驚いてそう言った。
そりゃあ、そうだと思う。
いくら副作用が落ち着いて顔色がいいとはいえ、北斗の全身にはもう癌が巡っているし、何より 立って歩くことはもう殆ど出来ないのだから。
「ほんとに言ってる。
……わかってる、無茶だって。」
ベッドの上の君は、何度もお願いする。
俺は止めなかった。北斗のしたいことは、それなんだもんね。
「だけどね、
今のままじゃ俺、死んでも死にきれないよ。
このひとと 何か綺麗なもの、まだ見れてない。ずーっと病室だよ？そんなの、俺イヤだ。
こーちせんせ」
「そっかぁ、…」
高地先生は、困ったように笑った。
「そう言われちゃうと、ね。
北斗くんの人生だから、北斗くんが生きたいように生きるのがいいよね。
…先生は医者の立場だから、安静にって言いたいところだけど。」
優しい眼差しで、先生は君を見た。
それから、俺の方にも向き直して。
「僕ね、おふたりがとっても羨ましいです。
お互いがお互いを、ほんとうに…好いてらっしゃって。
北斗くんなんて、平日の昼間ずーっと『大我、大我』って、言ってるもんなぁ」
「せーんせっ」
「ふふ、夜まで我慢してるとか言ってたくせに」
「してたよっ」
ふわふわと笑う君。
可愛らしくて、風船みたいに飛んでいってしまいそうで、その手を握る。
高地先生はそんな俺を見て、「素敵な方だね」と君に笑いかけた。
「…思い出、作っておいで」
「………いいの？」
「大我さんとなら、きっと大丈夫。
僕ら医者よりも、大我さんの方が何倍も、北斗くんのこと理解してらっしゃるからね」
不意にそんなことを言われて、俺よりも先に君が照れちゃった。けど、間違ってないかも。君の大抵のこと、わかる気がする。
「ありがとう、こーち先生」
「…ただ、先生と いくつか約束をしましょうね。
北斗くんの、体を守るために。」
「うんっ」
君は、とっても嬉しそうに頷いた。
「大我、やったぁ」と言うから、俺は君の頭を優しく撫でた。
先生は、夕方また来ますね、と言って立ち上がる。
「高地先生、」
「はい？」
「…ありがとうございます。本当に」
「いえ。僕はおふたりのこと、大好きですから」
君の主治医の先生は、笑顔がとっても似合う。
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晴(プロフ) - 名前しずくさん» あとがきまで読んでくださったんですね(^^) 2人はこれからもお互いを想いやっているはずです…！ 長らくのご愛読、ありがとうございました！ (2021年10月5日 19時) (
レス) id: 924db004c7 (このIDを非表示/違反報告)
名前しずく(プロフ) - 金平糖を贈る意味がとっても素敵で、お話にも合っているなあと感じました。今までお疲れ様でした。 (2021年10月4日 9時) (レス) @page44 id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：晴 | 作成日時：2020年10月21日 20時
