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その日の夜から、激しい嘔吐が何週間も続いた。
口内炎のせいでなにも口に出来なくなって、北斗の体重は俺のよりも遥かに軽くなっていった。

「ほくと、8時になったから、帰るね」
「…うんっ、…っ、」
「しんどいね。
何かあったら、すぐナースコールするんだよ」

横になった君の、額に触れる。
熱が高くて 汗が滲んでいた。

「たぃが、」
「ん?」
「…ごめん、ね。
俺と出会っちゃったから、大我のこと、巻き込ん、じゃった」

また、眉を下げて笑う君。
俺の視界は、涙で震える。

「ばかっ」

そっと君を抱きしめた。

「北斗が1人で耐えるより、よっぽど良いよ。
……なんなら 俺で、よかったのに」
「へへ、大我は むりだよ。俺よりも、ずっとずっと 痛みとか、弱いでしょ」
「うんっ…偏頭痛とか、ある…」
「ふふ、かわいい。」

そう言って笑う君が、見ていて堪らなく苦しい。
……それは紛れもなく、君が愛おしいからで。
愛おしいから、苦しかった。


君はそのまま、眠りに落ちた。
朝までこうして抱きしめていてあげたいけれど、ゆっくりと体を離す。

「おやすみ、ほくと」

その寝顔は、とっても美しかった。




そんな治療が4ヶ月続いた。

それなのに二人で聞かされたのは、癌が 全身に転移しているということ。
これ以上治療を続けても、君の僅かな体力を更に削ってしまうだけ。

残された時間は、一ヶ月。

緩和ケア病棟に移って、できる限り楽に最期を迎えることを進められた。

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(プロフ) - 名前しずくさん» あとがきまで読んでくださったんですね(^^) 2人はこれからもお互いを想いやっているはずです…! 長らくのご愛読、ありがとうございました! (2021年10月5日 19時) (レス) id: 924db004c7 (このIDを非表示/違反報告)
名前しずく(プロフ) - 金平糖を贈る意味がとっても素敵で、お話にも合っているなあと感じました。今までお疲れ様でした。 (2021年10月4日 9時) (レス) @page44 id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年10月21日 20時

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