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俺は窓の方を向いて、目を瞑った。深呼吸しようとしても、涙が邪魔をして上手く出来なかった。
決して苦しい訳じゃない、体はむしろ君に反応しているのに、心だけが言うことを聞かない。悲しくて、悲しくて堪らなかった。
「ぅっ…ごめんっ…ほくと……」
「ううん、大我謝らないでよ」
君の吐息が、背中に触れた。それから腕が伸びて、俺はそっと 包み込まれた。心臓の鼓動は不思議と、正常の速さに戻ってゆくようだった。
「もし、」
背中で感じる君の声は、低くて、それなのに高くて、甘い___いや少し苦い、溶かしたキャラメルのようだった。
「…もし、同棲できてたら、こんなだったんだね」
ふふ、と音のない笑い声がした。
「ほら、あの日。俺が病院運ばれた日。…一緒に住もうって、話したよね。
……神様、聴いていたのかもね。悪戯するなら、今だって。そんな気がする」
本当にそうなら、今すぐその神様とやらに会いに行く。大切な人を、救ってください、と。俺の命と引き換えにでも。
「…けどさ、こんな時間を与えてくれるのも、おなじ神様なんだよね きっと。」
こっち向いて、と言われて君の方を向く。
触れるだけのキスを、ひとつした。
「大我俺、今とっても、幸せだよ
こうしていられるだけで、満たされる…」
北斗の声だって震えてる。
だから泣かないで、と言ってくれる君も、泣いてる。
「……好きだよ、すきっ…たいがっ、」
涙を流す君を、包み込んで___苦しくさせちゃいけないと分かってはいたけれど___強く、強く両腕に力を込めた。
飛んでいかないで
俺のそばにいて
どこにも行かないで、ほくと
「ほく……愛してるよ、っ」
「うん、っ…うんっ」
きっと叶わない願いを、熱いキスでかき消す。到底消えないけれど、そうやって誤魔化すしか無かった。
暫くして、君は突然体の力を抜いた。抜いたというより、抜けてしまったのだと思う。背中や頬を撫でていると、いつの間にか君は眠りについた。
静かな部屋に、君の寝息だけが微かに響く。
腕の中の君を守るように抱いて、俺も瞼を閉じた。
眠れたかはよく分からなかったけれど、次に目を開いたら、外はもう空色の水彩絵具で染まっていた。
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晴(プロフ) - 名前しずくさん» あとがきまで読んでくださったんですね(^^) 2人はこれからもお互いを想いやっているはずです…！ 長らくのご愛読、ありがとうございました！ (2021年10月5日 19時) (
レス) id: 924db004c7 (このIDを非表示/違反報告)
名前しずく(プロフ) - 金平糖を贈る意味がとっても素敵で、お話にも合っているなあと感じました。今までお疲れ様でした。 (2021年10月4日 9時) (レス) @page44 id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：晴 | 作成日時：2020年10月21日 20時
