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「大我さんは常に、北斗くんの調子を気にかけておいてください。北斗くんも、体に違和感があれば口に出して、その日は安静に過ごしてね。」
君はゆっくりと頷く。
「みっつめ。
大我さんに、酸素ボンベとカニューレを渡しておきます。常に持っておいてください。
一度でも、北斗くんが苦しいと言って酸素吸入をしたら、…旅は終わり。帰ってくること、約束できる？」
「できる。次の日の予定がどんなに楽しみでも、帰ってくる」
「よし。
先生との約束は、このみっつ。」
高地先生は持っていたファイルの中から1枚選んで、君に手渡した。
「それと、これ」
そこには“診断書”の文字。高地先生の手書きで書かれた文字が、びっしり詰まっている。
「もし、旅先で、何かあった時のために。
これがあれば どこの病院に行っても、北斗くんのこと分かって診てもらえるから。」
何かあった時、が何を意味しているのか、
俺も きっと君も理解している。
「御守り、だよ」
「おまもり…」
「うん。ああ、それから約束 よっつめ。
たくさん、たくさん楽しむこと。…分かった？」
北斗は、先生に向かって微笑んだ。
「分かった。
……ありがとう、こーち先生」
先生も君に、優しく微笑んで頷く。
その瞳が ほんの少しだけ潤んでいる気がする。
「思い出話、先生聞けるの楽しみにしているからね」
「うん、沢山話すよ。きっと。」
君は、分かっていたと思う。先生にまた会う時、君はきっと もう今のようにお喋りはできない事を。
それでも頷く君の、運命が悲しくて。
だけど、それ以上に穏やかな顔をするのは何故だろうか。
出発の日の朝、
君は起きがけに俺に電話をくれた。
少ししたら会えるのに 我慢できなかったの、と電話口の君は笑う。
「朝が来るのが、こんなに楽しみだったこと
久しぶりでドキドキしてる」
まるで遠足の日の小学生のように、特別な瞬間を嬉しむ君が愛おしい。
靴を履いて、鍵を回す。
「じゃあ、病院向かうね」
「うん、待ってる」
扉を開けたら、春の風が頬を撫でた。
﹏﹏﹏
ここ迄のご愛読、ありがとうございます。
第一章、楽しんで頂けたでしょうか？(^^)
ぜひ最後までお付き合い下さい。
まだの方は、お星様をぽちっとお願いします！
晴(@haru_ix)
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晴(プロフ) - 名前しずくさん» あとがきまで読んでくださったんですね(^^) 2人はこれからもお互いを想いやっているはずです…！ 長らくのご愛読、ありがとうございました！ (2021年10月5日 19時) (
レス) id: 924db004c7 (このIDを非表示/違反報告)
名前しずく(プロフ) - 金平糖を贈る意味がとっても素敵で、お話にも合っているなあと感じました。今までお疲れ様でした。 (2021年10月4日 9時) (レス) @page44 id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：晴 | 作成日時：2020年10月21日 20時
