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3月24日11:13 ページ30

何にもない長閑な日々が当たり前だと思っていた。
畳の上に転がって見上げる天井を見飽きることはない。

いつだって俺は、同じ景色を見ていた。

「はー、暇だねィ」

天下の公務員、真選組なれども毎日毎日忙しくなく働いているわけではない。
朝から特にやる事もなくぼんやりとしていた沖田は本日何度目かも分からぬその呟きをこぼした。

例年より早めに夏が訪れるだろう、なんて言われているだけあって決して過ごしやすい気温を味わえる訳でも無いが、不思議とこの季節を嫌だと思う自分はいなかった。
ただ、長閑な日々が続けば何でも良かったのだと思う。

しかし、穏やかな時間は突如として終わりを告げる。

「総悟ォォォオオオ!!」
「げ。」

パシーーン、と馬鹿みたいに大きな音を立てて沖田の部屋の襖が開いた。
外から差し込む光が逆光となっていて、その人の表情を伺うことは出来なかったけれど、見なくても大体察しはついている。
横でオロオロとしている部下を睨み付け、沖田は溜息を吐いた。

「何ですかィ、騒々しいったらありゃしねぇ」
「何ですかィ、じゃねぇ。てめぇ、今度面倒起こしやがったら切腹だつったろ。まさか覚えてねぇなんて言わねぇよなぁ?」
「すいやせん、てんで覚えてねぇや。何の話ですかィ、土方さん」

完全に舐めきったその態度に土方の額には青筋がくっきりと浮かんでいた。
当然、隣で控える山崎は青い顔をしている。
先日、来たる日の為に泳がせていた大捕物を上からの指示をガン無視して捕まえた一件は流石の山崎でも隠しきれなかった。
先程その件が土方の耳に入ってしまった際に首をこれでもかというほど締め上げられ、沖田の居場所を吐かされた際には黙っておけという沖田の指示など守る術も無かったのだ。
流石に自分の命が惜しかった。

「す、すいません隊長ぉ…」
「ったく、何で言っちまうかねィ」
「言わんでもてめぇの悪行は新聞にもリークされちまってんだよ!毎度毎度派手にやりやがって…後始末する俺の身にもなれってんだ!!」
「はぁ……そう言われやしても、俺の仕事じゃねぇし。そういう仕事をやってる自分を恨むか、嫌ならさっさと辞めりゃ解決するんじゃねぇですかィ?」
「てめぇ、マジで切腹させんぞ!!」

ビキビキ、と音を立てて土方の額の青筋が広がった気がした。
逃げるのは癪だけれど、ここで土方の相手をしていたって良いことは無いだろう。

沖田は「そういや俺ァこの後見回りでした〜」と言ってその場から駆け出した。

3月24日11:23→←3月23日11:17



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設定タグ:銀魂 , 坂田銀時   
作品ジャンル:恋愛
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - えだまめンヌ。さん» 心温まるメッセージありがとうございます!私生活との兼ね合いで中々こちらにお邪魔できない状況が続いていますが、えだまめンヌ。様の言葉を励みに頑張っていきたいと思います〜! (2020年6月20日 21時) (レス) id: fbcf0daba9 (このIDを非表示/違反報告)
えだまめンヌ。 - ↓「作品だったとは」の後に「…」を入れるの忘れてしまい変な文章になってしまいました。地味に地味ーに誤字っちゃいました笑すみません! (2020年6月18日 20時) (レス) id: 510c711c3f (このIDを非表示/違反報告)
えだまめンヌ。 - こんなに色々考えさせられる作品だったとは軽い気持ちで読んだのですが、もう完全にハマっちゃいました。応援しています!!長文失礼致しましたm(_ _)m (2020年6月18日 20時) (レス) id: 510c711c3f (このIDを非表示/違反報告)
えだまめンヌ。 - けれど、ここにきて予期せぬ展開ばかり起こっていて、ん?ん?となんとか自分なりに考察しながら読み進めています笑どんな結末になるんだろう…!?最後に話が1つに繋がってスカッとなる瞬間がくるのを今から待ち焦がれています! (2020年6月18日 20時) (レス) id: 510c711c3f (このIDを非表示/違反報告)
えだまめンヌ。 - えええ…。とってもとっても続きが気になります!!初めは本当に「なんじゃこりゃ?」ってなって、あとがきを読んでましろさんにしめしめと一本取られていたとわかったときは少ーし腹が立ちました笑 (2020年6月18日 20時) (レス) id: 510c711c3f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月ヶ瀬ましろ | 作成日時:2019年5月26日 21時

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