気付かぬ想いと募る恋心。 (ページ16)

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15話ページ16

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「ちょっと、多田さん、ここで寝ないでくださいよー」

多田「…」

「私さすがに部屋まで運べませんよ？」

多田「…」

「ちょっと、多田さ…」

寝てしまった多田さんの身体をゆさゆさと揺らしていると、
その腕を掴まれた。

「多田さん？起きてるんですか？」

多田さんの顔を覗き込むと、
少しだけ開いた目。

多田「…なん？」

「へ？なんて？」

多田「…石井くんが、好きなん？」

「石井さん？コマンダンテのですか？」

多田「……嫌やねん、石井くんと仲良くしてんの、」

「…は？」

多田「…嫌や、」

多田さんはそう呟くと、
私の唇に自分の唇を重ねた。

一瞬のことで何が起きたかわからずにいると、

多田さんは私の首に吸い付いた。

「った、」

痛みを感じた瞬間に、
多田さんを思い切り引き剥がすと、

多田さんは眠ってしまったようだった。

…なんなん？

彼女いるんちゃうの？

誰かと間違えた？
いやでも石井さんとか言うてたし…

彼女も芸人とか？

…もう、わからん

嫌になって考えるのをやめ、
タオルケットをかけて、ロフトへと上がった。

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