気付かぬ想いと募る恋心。 (ページ7)

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6話ページ7

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「あ、もしもし、お母さん？

荷物届いたけん、ありがとうね。
でもなんかいつもより多い気がするんやけど」

『ほら！今月から先輩の方と一緒に住むって言うてたけん、2人分！
喧嘩せんようにって、お父さんが言いよるけん』

「大人が食べ物で喧嘩せんって。まあでもありがとうね」

お母さんとの電話を切ると、
タイミングよく、玄関の扉が開いた。

「あ、おかえりなさい」

多田「ただいま。ん、なにこれ」

と、床に置かれた段ボールに視線を向ける多田さん。

「うちの実家から送られてきた食材たちです」

多田「Aって九州の方やっけ、実家」

「そうなんです。家の周り畑だらけで」

多田「へえ、ええなあ」

「勝手に食べていいですからね」

多田「おん」

「ていうかなんか食べたいものあります？
作って冷蔵庫入れときますよ」

多田「えー…パッとは出んわ。考えとく」

母が送ってきたお肉やらを冷蔵庫へ。

元々、ずっと一人暮らしやったからギリギリいけてたけど…
2人になったら結構しんどいかな。

多田「どした？」

「冷蔵庫…もっと大きいの買おうかなって」

多田「あー」

ただ、新婚や同棲カップルみたいに、
ずっと一緒に暮らしていくわけじゃない。

多田さんが東京に来るのに家が見つからなかったから、
うちに今住んでるだけで、

仕事が落ち着いたら、きっと家を探すだろう。

そしたら、冷蔵庫変えたの無駄になっちゃうし…

多田「ええんちゃう？」

「え？」

多田「俺何がええとかようわからんしさ、
A買うてきてや。俺お金出すし」

「…や、お金は私出しますよ！私の家やし、」

多田「住まわしてもらってる身やし、
先輩やし、男やし。俺出すから。な？」

と、じっと顔を見られ、
頷くしかなかった。

少しドキッとしたのは、きっと気のせいだ。

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