【風見裕也】ハロー、幸せ世界 (ページ8)

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Case.05_2 ページ8

冷たい夜風が、私たちの間を吹き抜けていく。気付けば人気の少ない住宅地まで来ていた。

少なくとも私の自宅ははここ周辺ではない。ならば私の足は彼に合わせてしまったのだろう。

『……裕也、』

「すまない、柄にも合わず変なことを言った。忘れて…」

『今日泊めて』

「………は？」

面白いくらい呆けた声と顔に思わず笑う。

『ぷ、変な顔～～知らないうちに君についてきちゃったみたいで、私この辺よくわかんないの。

明日どうせ休みでしょ？宅飲みしよ、宅飲み』

同じ職場同士ならいいでしょ、と付け足せば裕也は呆れたようにため息をついた。

「……女性が男の家に泊まるなんて、危機感なさすぎるんじゃないか」

『え～今更。高校の時よくやったじゃん、夜通しゲーム大会してリビングで雑魚寝』

「いつの話だ……」

そう言いながらも、こっちだ、と一応周囲を確認しながらも案内してくれる。

誰かにこんなところを見られたところで、そもそも私たちの関係は隠しているわけじゃないし、問題はないのだけど。

「ビールしかないが」

『いいよいいよ～私ビール好き』

お邪魔しますと断って玄関を上がれば、必要最低限揃えられた生活空間が広がっていた。

「適当にくつろ…………いでるな、そうだよお前はそういうやつだよ………」

『ん？』

荷物を壁際に寄せてまるで自宅かのように遠慮なく座卓の側に座る。

裕也が2本冷蔵庫からビール缶を出し、正面に座る。

『よし、じゃあ私たちのこれからにかんぱーい！』

「なんだそれ…」