【風見裕也】ハロー、幸せ世界 (ページ14)

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Case.08_1 ページ14

「お願い！！この通り！！」

『いやあでも………』

某日のお昼休み。私は他部署の友人三人から困ったお願いごとをされていた。

「Aに愛しの王子様がいるのはわかってる！！始まったら適当に理由つけて

逃げてもらっていいから！！」

「もう誘えるのAくらいしかいないのよ～～！」

『助けたいのは山々なんだけど…庶務って言っても一応公安部の人間だし、

そういうのはちょっと……』

「そこをなんとか！」

三人が神頼みするように私に両手を合わせて頭を下げる。

いわゆる"合コンのお誘い"である。どうも行く予定だった一人が急用で行けなくなったんだとか。

人数合わせと言っても、立場上そういった場には参加するべきではない。

どこぞの有能上司ならともかく、私のような普段事務作業ばかりの人間が下手にそういう場に行くのは得策ではない。何より私には彼がいる。

『他を当たってほし…』

「ってたらい回しにされてあんたのとこ来たのよ！」

「ちょっとだけだから！ほら、名前とか職業は適当に誤魔化しときゃいいじゃん！

向こうはみんな私の知り合いだし！」

世間は狭いので知り合いは安全という考えは得策ではないと私は思うのだけれど。

「人数足りないとおじゃんになっちゃうんだよ～！これ逃したらマジでもう婚期逃す！」

「ご飯代とかは出すから！」

「お願い！」

『え～～～……』