Case.07_4 ページ13
『あー、仕事っていうよりは日本かな』
苦笑して男の子の言葉に訂正を加える。降谷さん程ではないけれど、
彼もなかなかの愛国心の塊だ。
「ふーん……寂しかったりしないの?」
『うん?いや別に……国なら勝ち目ないし』
それに、
「そんな程度のことで彼の枷になりたくない?」
安室さんが目を細めて私の心の内を代わりに告げる。この人はなんでも見抜くなあ。
『………私はあくまで、彼のただの恋人でありたいんです。他の事があれば迷わずそっちを選べる
程度の、そんな位置がちょうどいい。』
空が青みがかってきた。一番星が輝き、夜が近付いてくる。
「だから結婚せず、ずっと恋人なのか」
安室さんの言葉に私は笑って頷く。
「……いいんじゃない?枷になっても」
男の子が、突然そんなことを言った。何を言ってるんだこの子は。
『いいって…彼の仕事柄、いつ何があるかもわからないんだよ?私だってそう。
だからお互いに枷になるようなことは減らした方が…』
「だからだよ」
風が、私たちの間を吹き抜けた。
「お姉さんたちのような仕事の人たちには、1つくらい重い枷があったほうがいいと思うよ!
"何か"の時にちゃんと思い出せるような、とびきり重いやつ。
そうすれば思いとどまれることだってある。」
「そうだな、僕もそう思いますよ。確かに不要な枷もあります。
でも貴女のそれは、きっとその人にとっては必要な枷です」
だからそんな顔をしないでくれ、俺があいつに怒られる。そう、安室さんは苦笑した。
私は今、どんな顔をしてるだろう。
けれど、強く、彼のそんな枷でありたいと願った。
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ルカ(プロフ) - Mach es!頑張れ! (2018年8月11日 8時) (レス) id: 723d39c3a6 (このIDを非表示/違反報告)
瑶(プロフ) - 明里香さん» ご報告ありがとうございます…! (2018年7月31日 7時) (レス) id: b4e059d7cb (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 3-2話に誤字がありました。「雄也」ではなく、「裕也」です。 (2018年7月27日 17時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑶 | 作成日時:2018年5月17日 19時