102度目の人生 ページ16
冨「Aがなんと言おうと、鬼になったものは人には戻れない。首を切るしかない。」
『だから、それをやめてくださいっていってるんですが?意味、分かります?』
真逆この家まで冨岡が来るとは思っていなかった為、若干の焦りと冨岡の融通の利かなさに腹を立てた時だった。
お願いします、と今にも消えそうなか細い女性の声が聞こえた。
はっと声をした方見れば、葵枝が頭を下げていた。
葵「お願いします。娘を返してください。」
冨岡がじっと葵枝さんを見つめる。
炭「ね、禰豆子は人を食ったりなんてしない!だから、だから、俺の妹を離してください。」
冨「よくもまあ、今しがた己が食われそうになっていおいて」
そんな事が言えるな、と続くであろう言葉は炭治郎の否定によってかき消される。
炭「俺の事や家族の事はちゃんと分かってるはずだ。俺が誰も傷つけさせない。きっと禰豆子を人間に戻す。絶対に治します。」
冨「治らない。鬼になったら人間に戻る事はない。」
『まだ、事例がないだけで、わからな』
私の言葉は炭治郎によって遮られる。
炭「探す!必ず方法を見つけるから殺さないでくれ。家族を襲ったやつも見つけ出すから。俺が全部ちゃんとするから、だから。だから……」
炭治郎の懇願は冨岡へは届かない。
冨岡が油断していた私を投げ飛ばし、禰豆子へと刀を向ける。
それを見た炭治郎は顔を青ざめさせる。
葵枝さんはあまりの出来事に言葉を無くし、口を抑えていた。
他の炭治郎の兄弟達は小さく震えながら静かに泣いていた。
やめてくれ、と炭治郎達の叫び声に近い声が聞こえる。
そして、全く刀を緩めない冨岡に対し、炭治郎は雪へと頭をつけやめてください、とお願いする。
炭「やめてください……どうか、妹を殺さないでください……お願いします……お願いします……」
と、何度も何度も炭治郎は冨岡へと妹の命乞いをする。
それを見た冨岡はどこからそんな大声を出したのか、雪降る静かなこの場所に冨岡の声が辺りに響いた。
冨「生殺与奪の権を他人に握らせるな!惨めったらしく蹲るのはやめろ!今すすり泣き、懇願して何になる!そんな事が通用するならお前達は襲われていない。」
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七星 麗華 (ななぼし れいか) - 面白かったです。次の更新も頑張ってください。楽しみに待っています! (2022年10月30日 18時) (レス) @page21 id: 50853c9852 (このIDを非表示/違反報告)
三日月夜桜 - 面白かったです。次の更新頑張ってください。楽しみです。応援してます。 (2022年6月4日 19時) (レス) @page19 id: d397310001 (このIDを非表示/違反報告)
時雨坂 - 続編おめでとうございます!更新めちゃくちゃ楽しみにしてます!頑張ってください!(*≧∀≦*) (2021年1月27日 21時) (レス) id: 38881abff7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麗夜 | 作成日時:2020年8月26日 0時