85度目の人生 ページ43
ひゅっと喉がなる。
再び般若化した慎寿郎さんは私を担ぎあげ、家の方向へと走っていく。
『し、慎寿郎さん…!こわいこわいこわい!!』
べしべしと背中を叩くが慎寿郎さんは止まる気配がない。
そして小芭内達を置いて私はあっという間に家に着いてしまった。
慎「どこにいる。」
『な、何がですかぁ…あはは。』
ちっと舌打ちをしたかと思えばずかずかと家へと入っていく。
『え、ちょ!!不法侵入ですよ!!人の家に勝手に上がらないでください!』
ばっと前へ飛び出て通せんぼうをすれば押しのけられる。
慎寿郎さんは流石柱と言ったところか、真っ直ぐへと地下室へと向かっていく。
『慎寿郎さん!!私は鬼を人に戻す方法を探っているんです!邪魔しないでください!その人はまだ人を食っていません!』
慎寿郎さんは私の言葉に足を止め、こちらに聞き耳を立てる。
慎「…お前と共に行動していた子供のうち2人、包帯を巻いていた。それはそのお前が庇っている鬼が付けたものじゃないのか。」
『っ…ですが!!』
人を食っていなくても食おうとし傷つけたのならその首を落とすまでと言ってまた足を進める。
『(まずい、慎寿郎さんは本当にやる。隊員同士の抜刀は…隊律違反…)』
刀に手をかける。
『慎寿郎さん。これ以上進むのでしたら私はこの刀を貴方に向けることになります。』
睨むように見上げると慎寿郎さんは額に青筋を立ててこちらを見下ろす。
慎「何を甘いことを言っている!鬼が人間に戻るわけがないだろう!?あいつらはもう!人間じゃないんだ!」
その言葉に私の中でなにかが切れる音がした。
『人間じゃない?あなたは…鬼達が鬼になりたくてなったとでも思っているのか…?』
刀同士がぶつかる音がする。
ぎりぎりと力を込めて慎寿郎さんに押し付けるが慎寿郎さんも咄嗟で反応した刀で受け止めている。
『私は彼女らが人間に戻れるのなら、1人でも多くを殺さずに救いたいと思っているんです。私はそれが出来ると信じている。』
だからここは引いてください、と言えば慎寿郎さんの空気が変わる。そして刀に篭もった力がふっと抜ける。
慎「次に人を傷つければその鬼を切る。分かったな?」
ありがとうございますと頭を下げれば、慎寿郎さんは地下室をあとにする。
私はほっと一息をつき、その場に座り込んだ。
584人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鮭大根(プロフ) - ウェーイ( ・∇・)面白いです!!これからも頑張って下さい!!応援してます!!続き楽しみ〜(´-ω-`)ムフフ (2020年8月23日 2時) (レス) id: ef1af2de4e (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望 - や、やばい!続きのお恵みをっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (2020年8月23日 0時) (レス) id: 11a9c593be (このIDを非表示/違反報告)
麗夜(プロフ) - 絢さん» ありがとうございます!頑張って続き書いていきますね! (2020年7月5日 23時) (レス) id: da3d507f78 (このIDを非表示/違反報告)
絢 - この話すっごく好きです!続きも楽しみにしてます! (2020年7月1日 17時) (レス) id: 456d2e2709 (このIDを非表示/違反報告)
麗夜(プロフ) - つむ狐さん» ありがとうございます!更新停止してしまっていましたが、これからまた更新を頑張っていくのでお願いします! (2020年6月23日 5時) (レス) id: da3d507f78 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:麗夜 | 作成日時:2020年5月13日 20時