出久の双子の姉は愛されたい2 (ページ10)

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愛されたい54 ページ10

暗い講堂内に入り、受験票の番号が書かれてある席へと座る。

ふわっと香る甘い匂いにつられ、横を見ると左どなりに勝己が居て、睨まれた。

え？睨まれ…？

『え、なんで睨まれてるの？』

勝「あぁん？ふざけてんのか…推薦入試合格したのに蹴っただぁ？？テメェ舐めてんのか！！」

と怒鳴られる。

そりゃそうか、真剣に雄英高校に入ることを目指している人からしたら私の行動はお遊びに感じるだろう。

『舐めてなんかないよ。私は出久と同じ土俵で圧倒的な1位を飾らないと行けないの。それがお母さんに見てもらうための第1歩なのよ。』

そう、それが第1歩なの。

『出久よりも上に私がいるのよ？嫌でも私が目につくでしょ。』

にししと笑ったところで出久が席に着く。

出「あ！A！久しぶりだね！！元気だった？学校で見かけても声がかけづらくって…」

『やっほー、出久。元気だよ。そっちは？勝己にいじめられてない？笑』

勝「あぁ？誰がこいつなんかに構うか！！」

とそんな会話をした所で暗い講堂内に明かりが着く。

マ「受験生のリスナー…今日は俺のライヴにようこそー!!!エヴィバディセイヘイ!!!」

講堂内に広がったハイテンションな大きな声はプレゼント・マイクのものだった。

出久は勝己のとなりで感心してるみたいだけど、正直言って集中をしようとしている今、ブツブツと言われるのは気が散ってしょうがない…

『出久…少しお口チャック。』

口を固く結んで、左から右にチャックを引くようにジェスチャーすれば、出久は両手を口に当てて黙った。

『(一般入試はロボが相手が…まずは会場内を見渡せるくらい高く飛ぶ…それからどこに何点が配置してあるかを確認。その後、上空からの一斉射撃で撃破…これでいいよね…？)』

そこでふと気づく。

『(今、マイクさんなんて言った？…仮想敵？ただのロボで良くないか…？そうかこれは…ポイントを稼ぐアタッカー的要素だけでなく、相手が敵というていで救助もして行くべき試験なのでは…？)』

つまり、この試験は2重の採点方式をとっているのか…！！

目の前の試験という点数が重要となってくる所謂テスト。

これは作られた場。

そういったのを全部無視して倒れた誰かや怪我した誰か、危ない誰かを自分の点数稼ぎをほおって置いてもつい助けてしまう、そんなヒーローとしての本質を見抜くのか…この試験は！！