愛されたい30 ページ33
『ただ、いま…』
テレビの音と料理の音が聞こえる。
お母さんは起きてる。
この時間帯は出久は寝ているはずなんだが、靴がない。
もしかしたら早起きしたからとランニングに行っているのかもしれない。
なら今がチャンスだ。
『お母さん！』
引｢…何？｣
視線を少しだけこちらに向けたお母さんはまた視線を戻し料理を続ける。
『少しだけ話を聞いて欲しいです。私は…お母さんに愛されたい。でも、お母さんはきっとこのままじゃあ私を愛してくれません。』
お母さんは黙ったまま料理を作り続ける。
泣きそうになるけど、今はだめ。
堪えて。
『だから！愛して貰えるように頑張ります。そのために、私を独り立ちさせてください。』
引｢独り立ち…？｣
そこでようやく顔を上げてくれたお母さん。
『はい、一人暮らしをさせてください。迷惑はかけません。今まで貯めた貯金があります。高校に入るまでに1人で暮らせるくらいには。』
引｢高校の入学代は？｣
『奨学金を借ります。だから、お母さんに迷惑は何一つかけません。でも、家を借りるには私の名前ではできません。』
零れそうになる涙を堪えてぎゅっと拳を握りしめる。
手はまだ震えてる。
足だって、声だって震えてる。
『だから！どうかお母さんの名前を貸してください。』
そう言って頭をばっと下げる。
お母さんは料理中のフライパンの火を止め、こちらに近づいてくる。
体が強ばるのが分かる。
殴られる？
叩かれる？
蹴られる？
色んな痛みが頭をよぎる。
引｢いいわよ、でも迷惑はかけないでちょうだいね。今日家を見に行きましょう。｣
その言葉に顔を上げる。
お母さんの顔や声は相変わらず冷たかったけど、この態度になってから初めて一緒にお出かけをする。
『ありがとう、ございます…』
気が抜けたら泣きそうだった。
でも堪えた。
だってこれは認めてくれたんじゃなくて厄介ばらいだ。
分かってる。
分かってはいるけど、嬉しかった。
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lokiloki - こちらの作品をとても気に入ったのでプレイリストに載せさせてもらいます ※自分の作品を消したい場合はお手数をかけますがプレイリストの 【おもしろ度を投票】の上にある 【リストから削除】からやるか、プレイリストのコメントから作者に言ってください (4月19日 22時) (
レス) id: 388da595fc (このIDを非表示/違反報告)
まいねーむいずオタッキーちゃん！ - なんか...コタローはひとり暮らし、のキャラみたい...？(((( (2022年12月3日 9時) (レス) @page42 id: 78bf642dad (このIDを非表示/違反報告)
麗夜(プロフ) - カノン(。・ω・。)ゞさん» え、まじですか笑ありがとうございます (2021年7月13日 0時) (レス) id: da3d507f78 (このIDを非表示/違反報告)
カノン(。・ω・。)ゞ - 好きなものダダ被り！www応援してます！ (2021年7月11日 21時) (レス) id: f39ef1e54a (このIDを非表示/違反報告)
麗夜(プロフ) - すややさん» ありがとうございますー！毎日更新目指してるので是非読んでくださーい (2020年5月18日 23時) (レス) id: da3d507f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：麗夜 | 作成日時：2020年4月23日 11時
