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「これって……Aが一人でやったよか?」
他の三人を代弁するかのように岩泉先輩が言ってきた。
「そうですよ。流石に練習試合のデータは取れなかったので公式戦だけですけ……」
不意に爽やかなシトラスが鼻孔をくすぐった。
そして気づいた時には遅かった。
力強く私を抱きしめる彼は随分幼く見えなんだか可愛かった。
「Aちゃん!ありがとう!………絶対勝つから、マネージャーとして俺達バレー部を支えてくれない?」
未だに離れない主将の背中を小さい子をあやすように叩くと、彼は離れてくれた。
「それじゃあ、早速いっぱいご飯食べていっぱい練習しましょ!主将」
「うん。じゃあ、俺飲み物買ってくる」
そう言う彼の瞳はちょっと赤くなっていた。
「……さっきは及川が悪かったな。マネージャーが仕事してくれた事ないからあいつ嬉しかったみたいなんだ。
本当に俺達を支えようとしてくれるはAが初めてだったんだ。」
岩泉先輩は食べていたご飯を飲む込むと子供のような笑顔を見せた。
「お礼を言うなら私の方ですよ。マネージャー認めてくれてありがとうございます
あ!そういえば先輩達は新一年がどこに進学したとかわかりますか?」
私は鞄からiPadとキーボードを取り出しながら聞いた。
「わりぃ。青城に来るメンバーしかわかんねぇ。」
「でも、白鳥沢はそのまま高校に行く可能性がたかい。」
「やっぱりそうですよね………」
花巻先輩と松川先輩の答えに肩を落とし、とりあえずおにぎり食べながら青城に来るメンバーを整理していった。
あれ…
他の北川第一のレギュラーは青城に来るのにこの子は来ないのかな?
「Aちゃん、な〜にしてんの?
ゲッ……飛雄じゃん」
私の頭の上に顔を置きながら言っていた主将は見ていたのが影山飛雄だと気づくと不機嫌な声を出した。
「あ、おかえりなさい。彼は青城に来ないんですか?」
「まぁ、色々あるんだ。
それより、クソ川さっさと飯食え。もうすぐ練習始まるぞ。」
意味深に言う岩泉先輩にこれ以上は聞くなと言われているようで追求はやめた。
「ほんとだ。すぐ食べるから岩ちゃん待ってて〜マッキーとまっつんはAちゃんに部室案内お願い。」
慌てて鞄から弁当を取り出した主将は一気にかけこんだ。
「おう」
「じゃあ、俺らは先行っとくな」
iPadを鞄に入れ花巻先輩と松川先輩とともに部室へ向かった。
彼等に認められ嬉しい私はこれからのバレー生活が楽しみで仕方がない。
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みなみ(プロフ) - すごく面白かったです!最新きながにまってます! (2021年5月5日 0時) (レス) id: cc9951f69a (このIDを非表示/違反報告)
KIHARU(プロフ) - ちょこれえとさん» ありがとうございます。 (2020年1月2日 7時) (レス) id: f7a2f8183b (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれえと - めっちゃ面白いです! これからも頑張ってください!! (2019年12月31日 22時) (レス) id: cdd2774812 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:KIHARU | 作成日時:2019年8月14日 19時