鬼舞辻無惨のそっくりさん (ページ16)

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壱拾参話ページ16

目を開ける。

すると、驚くべき光景が目に入った。

「ね、禰豆子……？」

少年が戸惑いの声を上げる。

それもそうだ。

─何故なら、少年の妹であろう少女は私を少年から守るように、私に被さっているのだから。

「……炭治郎君、これはどういうことですか？
　鬼、ですよね？」

蝶の髪飾りの人が、怒ったように言う。

「禰豆子！？

　そいつは鬼舞辻無惨、鬼の始祖だぞ！？

　母さん達を殺し、お前を鬼にした鬼を、何故
　庇っているんだ！？」

少年は、その問いには答えずに、少女に向かって叫ぶ。

しかし、少女は私から離れなかった。

それどころか少年に向かって少し怒ったように、「ムーー！」とうなる。

「……これは一体どういうことなのだろうか！
　溝口少年！！」

「溝口じゃないです」

いや、こっちが聞きたいよ。

声でかい。煩い。耳痛い。

「炭治郎君、貴方が話しかけているのは鬼です
　よ？
　危ないので、どいてください」

「ち、違います！
　禰豆子は鬼ですが、人を食べたことはありま
　せん！」

何が起こっているのだろうか。

仲間割れ…？

少年は、そこまで言ったところで何かに気付いたようにいきなりこっちを見る。

「禰豆子が鬼舞辻のことを庇う筈が無い……」

「もしかして……鬼舞辻無惨じゃ、ない、の
　か…？」

その問いは私に向けられた、というよりは独り言のようなものだったが、私は早く帰りたいので、敢えて反応する。

『その前に鬼舞辻無惨って誰だ。』

………。

…………………。

…………………………………。

｢｢｢｢えええええええええええ！？！？！？｣｣｣｣

耳痛い！うるっっっせえよ！！！

「禰豆子さんのことは全くよくないですが、と
　りあえずおいておきましょう。

　………いやいやいや、鬼舞辻じゃないなんて
　あり得ませんよ。
　きっと、逃れるために嘘をついているに決ま
　っています。」

「でも、考えてみれば、鬼舞辻が私達におとな
　しく捉えられる筈ないわ！」

「そうですよ。
　何か、私達に罠を仕掛けているのでは？」

「しかし、あの高圧的な態度、鬼舞辻しかあり
　得ん！！」

「でも、禰豆子には人間が家族に見えるように
　なっているので、この人が人間ならばこの行
　動も頷けます！」

…………おーい、私空気ー。

なんか、一人全く喋っていない人いない？

あの羽織変な人。