【HQ】国見くんをからかいたい。【国見英】

からかいたい、さんじゅうに ページ33

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「くに、みくん」



「……もしかして影山と会った？」



「ううん。ただ、金田一くん、が…っ、」



その先はもう言葉にならなくて。国見くんはそんな私の隣にしゃがんで、頭に優しく手を置いた。



「確かにそいつと俺らが仲悪いのはホントだけどさ。なんで有村さんが泣いてんの」



「ごめ、っ」



「謝んなくていいから」



国見くんはぶすっとした顔のまま私のほっぺを引っ張った。無理やりあげられた口角。泣き笑いの顔をした私がそこにいた。



「有村さんはなんも考えなくていい」



「…？」



「言ったじゃん。俺だけ見てろって」




アイツも金田一も、烏野も、関係ない。俺らは勝つから。国見くんはそう言うと「マネージャーが泣いててどーすんの」といつも通りの意地悪な笑みを浮かべた。



「国見くん、だけ」



「そ、俺だけ」



繰り返すその言葉は魔法のようで。私はいつの間にか本当に笑っていることに気がついた。国見くんの過去も、聞きたいことだって沢山あるけれど。



今はこれで充分、なんて。




「ほら、さっさと泣き止んでくださ〜い」



「な、泣いてないもん」



私が慌てて目元を拭うと「有村さんってすぐ泣くよね」と笑う国見くん。む〜、っと頬を膨らませれば国見くんは楽しそうにそれを摘んだ。



「でも、笑ってる方がやっぱかわいいじゃん？」



「……！？」



きっと、からかってるだけだよ。
分かってるはずなのに、期待させる国見くんはどこまでもいじわるだ。



「国見くんのばか……！」

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