ピンク色のお客さま ページ2
ピンポーンピンポーン
店内に鳴り響く入店音。
『いらっしゃいませ〜』
そう言いながらチラッとドアの方を見る。
そして店長が一言、「今日もいらっしゃったわね」と。
私は『そうですね…相変わらずピンク色してますね…』と返す。
私と店長の視線の先にはめちゃくちゃ目立つピンク色の髪をした男の人が一人。
髪色がピンクなのも特徴的だけど、口元の傷もとても印象に残る。
『いらっしゃいませ,お預かりします』
「ん」
このピンク色のお客さま,今日は某エナジードリンクのピンク色を買って行くみたい。
がぶ飲みしてるイメージ湧かないからストローも付けてあげよう。
どこぞのメンヘラかなって。内心ツッコミ入れてみる。
『お会計が○○○円になります』
ちなみに,レジ袋はお尋ねしなくても付けなきゃ睨まれて舌打ちされるので無言で付けます。
トレイに置かれる千円札1枚。
『千円お預かりします』
私がお釣りをせっせと取り出している間,ピンク色のお客さまは私の手元をじっと見ている。
それがなかなかに落ち着かないもので…。
『○○○円のお返しです,ありがとうございます』
と,トレイにお釣りを乗せようとするといつも必ず手のひらを出してくる。ここに乗せろと。
私はどうしてもこれに慣れない。
だけど,緊張も何もかもを押し殺してそっとピンク色のお客さまの手のひらにレシートとお釣りを乗せる。
手を引こうとした時,不意に指がピンク色のお客さまに触れてしまった。
慌てて手元から目線をあげると
ピンク色のお客さまは傷のある口元の端をぐいっと引き上げながら,レジ袋を片手にお釣りを受け取り「ありがとな」と言ってレジを離れていく。
初めての出来事だった。
ピンク色のお客さまに「ありがとう」と言われたこと。
そして,微笑まれた(？)こと。
驚きで頭に無数のハテナが浮かんだよ。
もれなく不思議な、否…。
嫌な予感もしたよ。
こうしてこの日の私のバイトは終わった。
あの嫌な予感が的中するとも知らずに。
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優夛ﾕﾀ(プロフ) - (プロフ)さん» そうです、すわぁんずサンです！お気に召していただけたら何より… (2021年10月22日 22時) (
レス) id: b0cbcacbf6 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - うおｯ、すわぁんずサンですか。 (2021年10月22日 17時) (レス) @page5 id: afa1133b59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：優夛ﾕﾀ | 作成日時：2021年10月15日 22時
