My Precious 2【TH】

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テヒョンさんが用意してくれた席は、なんとなんと最前列。座席番号を見たら1番前で驚く私に、菜々花さんが、


「テヒョンはAが可愛くて仕方ないんだね」


と耳元で囁いて、逃げるように自分の席へ向かっていった。





菜々花さんが貸してくれたアミボムとテヒョンさんの顔が印刷されたうちわを持って、開演を待つ。

動画とか見ていて掛け声すごかったけど、私何も分からないや…。なのに最前列とか大丈夫なのかな？

不安に駆られながらも、近くでアイドルしているテヒョンさんを見ることが出来るのは素直に嬉しいなと思った。前のコンサートは、少し遠い席だったから、最前列ってどんな風に違うんだろうとドキドキする。






しばらくすると会場の照明が暗くなり、会場中がしんと静まり返った。モニターに映る映像と共に、防弾少年団のメンバーが登場した瞬間、会場中に悲鳴が響き渡った。


お化粧して、ゆるく巻かれたふわふわな髪型をしたテヒョンさんから目が離せない。


うわあ、かっこいい……！！


前のコンサートの時も思ったけど、テヒョンさんはやっぱり誰よりもアイドルだ。歌ってる時の表情とか、何もかも。1度見た人を惹き付けて離さないような、そんな雰囲気がある。見よう見まねでアミボムを振って、他のファンと一緒になってテヒョンさんの名前を叫ぶ。


「っ…！！」


今、目が合った？そう思った瞬間、テヒョンさんがこちら側に指ハートをして、私の周りのファンが一斉に悲鳴をあげた。



バクバクと心臓がうるさい。


アイドルのテヒョンさんの破壊力に膝の力が抜けそうだった。
な、なるほど…これはやばい、ハマる…！！



テヒョンさん以外の他のメンバーも手を振ってくれたり、ハートしてくれたりと最前列の供給に私は不安なんか忘れて全力でライブパートを楽しむことが出来た。



みんな優しい目でファンを見つめるから、何だかとてもあったかい気持ちになる。ファンを大切にしてるんだなって、ひしひしと伝わってくる。



そんな中で。


「………？」


自意識過剰かもしれないけど、一人だけ。



ジョングクさんが、私のことを冷たい目で見て来ているような、そんな気がした。

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