My Precious 2【TH】

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あ、この人、今絶対鈍臭いって思ったな。ちょっとキツく目線を向けると、パッと目を逸らされた。口元はちょっとニヤニヤしてる。うう、なんか悔しい。



日本語が多少通じることが判明して、とりあえずちょっと安心。そういえば、テヒョンさんと初めて会った日も、日本語話せるんだって安心したなあと思い出す。…いやいや、そうじゃなくて。ジョングクさんに言わなきゃいけないことは色々あるんだから。しっかりしろ、A！


とりあえず奪われた――というか拾われて勝手に通話された――携帯を奪い返して、翻訳アプリに文字を打ち込む。


【3メートル以内に近づかないでください】



びっくりマークを10個以上付けて強調した文章を見せると、思っくそ舌打ちをされた。顔に書いてあるんだよなあ、「こんな奴とどうこうする気はないのに。失礼な奴」って。


悪かったな、自意識過剰で。


「…テヒョンさんに電話しなきゃ」


きっと心配してくれているか、怒ってるか、どっちかなはず。事の経緯を説明しないと、と携帯を通話するために動かす。


「………どうぞ」



電話の準備をしながら、一応客人だからと座椅子を差し出して、お腹がすいた時に食べようと思っていたチョコチップクッキーも渡した。クッキーを手に取ったジョングクさんはちょっとご機嫌そう。分かりやすいな。



「…もしもし、テヒョンさん？」
『っA！？』


通話のボタンを押してから、ワンコールもせずにテヒョンさんが電話に出てくれて、かなり心配かけたんだなとちょっと泣きそうになった。



『大丈夫！？グガに襲われてない？』
「大丈夫ですよ。心配かけちゃって、すみません…」
『はあー、ちょっと怒ろうと思ったのに。声聞いたらそんな気なくした。』


もおー、ほんとにだめだよ。と繰り返し電話の向こうで呟くテヒョンさんはいつもより少し早口だ。足音も聞こえるし、部屋の中をソワソワ歩き回りながら電話してくれているテヒョンさんを想像して、なんだか笑えた。かわいい。


『こら、笑わないで。ダメだからね、ジョングガに隙見せたら』


それから、テヒョンさんに散々釘を刺され、ようやく解放された頃には、ジョングクさんにあげたチョコチップクッキーの袋が空になっていた。




食べるの、早すぎではないだろうか。

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