花に口づけ【JN】

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散々泣き顔を馬鹿にされ特徴的な笑い方でかなり笑われた数十分後。ようやく顔も気持ちも落ち着いた。…子供みたいに泣き喚いて、本当にソクジンさんには情けないところばっかり見せてて恥ずかしい。




「………もしもし？」
＜A！？ちょっと、大丈夫？生きてる？＞
「うん、なんとか…」



WiFiで繋がった携帯でカード会社に連絡したり旅行保険の保証申し込みをしたりして、最後に昨日はぐれた友人に電話をかけた。




ワンコールもしないうちに繋がって、凄い圧でどうしたの！！と問い詰められる。




昨日起こったことを説明して、今は助けてくれた人の手を借りてなんとかやっていることなどを伝えると、友人も安心したように息を吐いた。



＜A…あのさ……＞







「……………は？」





そしてその後、友人から知らされたとんでもない事実。まじかよ、と携帯を落としそうになる。




＜帰りの便の時にちょうど悪天候の予報が出てて、それでツアー会社の方が日程変更して、2泊3日で帰った方が帰りの便に影響出ないって言ってきて…実は、明日、帰ることになった＞



え、それって1人と音信不通なときに決定していいもんなの？と素直にキレそうになったが、ゼミ長の方で私よりも多数の方の安全を優先するよう決定したらしい。いや、見捨てられてるやん。





「……えええ、まじかあ」


『Aちゃん？どうなった？』

『……ソクジンさん』



私の横で電話が終わるのを待ってくれていたソクジンさんが、首を傾げて私を見てくる。


友人から告げられた衝撃的なゼミ旅行の結末をそのまま伝えると、彼はそれはもうケロッとした顔でこう言った。



『色々落ち着くまでずっとここにいればいいんじゃない？』

『それは、さすがに申し訳ないです…！』

『迷惑とか、そういうのは考えないで。お金のことも心配しなくていい。Aちゃんは、自分のことだけ心配してな。ね？』

『いや、でも…！』


『じゃあ、交換条件。お礼に日本食作って？あ、あと、僕の話し相手になってくれたら、それで十分かな！』



…これは交換条件と言えるのだろうか？


１週間でも１ヶ月でも、Aちゃんが帰れるまで好きに使ってよ、なんて更に私を甘すぎる断崖絶壁に追い詰めてくる。





『うーん、僕と暮らすの、そんなに嫌？』


渋り続ける私に痺れを切らしたソクジンさんはアイドルパワーを駆使した上目遣い攻撃をお見舞いしてきて、私は軽く負けた。

…我ながら、ちょろかった。

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