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もう二度と会うことはないと思っていたのに。
傘だけ受け取ろうとすれば、ひょいと避けられる。
「お家入れてくれないですか?」
「…え?」
「僕、とても寒いです!」
ガタガタと寒がるフリをするテヒョンさん。
何がどうなって、こうなった?
今私の目の前でしゃがんでいるのは今日菜々花さんから見せてもらった、あの大きなステージでキラキラと輝くスーパーアイドルだ。昨日は本当に1000年に1度の偶然でファンに追いかけられていたテヒョンさんを部屋に入れてしまったが、今日テヒョンさんが私の部屋を訪ねる理由がない。一般人が返さなくて大丈夫と言って渡してきた傘なんて捨ててしまえばよかったのに。昨日とはまた違う高そうな服を身に纏うテヒョンさんを見て、私の脳内は混乱するばかりだ。
とりあえず本当に風邪でも引かれたら困ると思って部屋に入れる。テヒョンさんは靴を脱いで、私に傘を渡してきた。ありがとうございます、と頭を下げてから、昨日のソファに座ってもいいかと聞いてくる。いいですよと返すと、そりゃもう嬉しそうに勢い良く座った。あのソファが気に入ったのだろうか。
「A」
「っはい、」
急な呼び捨てに驚いて座卓の角に足の指をぶつけた。痛くて蹲る私にテヒョンさんが、大丈夫ですか?と声をかけてくる。足の指も含め、この状況が全然大丈夫じゃないんだよなあ。
「ケーキ食べたら、治りますか?」
「、え?」
「昨日のお礼です!」
テヒョンさんが、両手で白い箱を差し出してくるから、座ったまま身を乗り出して受け取る。甘い匂いがする。促されるままに箱を開くと、美味しそうなショートケーキとフルーツタルトが2つずつ、並べられていた。
「食べましょう!」
いつの間にかマスクを取って、整った顔を露わにしたテヒョンさんが、ケーキ、ケーキ、と謎の歌を歌い始める。
とりあえず、フォークとお皿が必要みたいだ。
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るめ(プロフ) - かなさん» かなさん、はじめまして!コメント嬉しいです^^* ぜひぜひ感想これからも聞かせてください。とっても励みになります。お待ちしてますね!笑 (2019年5月7日 13時) (レス) id: c680f383ae (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - はじめまして!この作品の更新をめちゃくちゃ楽しみにしてます!続きが気になってワクワクです笑 これからも応援してます!今後、何度かコメントしてしまうかもしれませんが、何卒よろしくお願いします笑笑 (2019年5月4日 0時) (レス) id: 5f98a825dd (このIDを非表示/違反報告)
るめ(プロフ) - ナナさん» ナナさん、コメントありがとうございます!きゅんきゅんすると言ってくださってとても嬉しいです^^* 励みになります!完結までまだまだ先は長いですがどうぞよろしくお願いします! (2019年5月4日 0時) (レス) id: c680f383ae (このIDを非表示/違反報告)
ナナ - この作品を読んでてとてもきゅんきゅんしました。テヒョンの行動や言葉がとても楽しみです。続き楽しみにしています。更新頑張ってください! (2019年5月3日 20時) (レス) id: 3d154645ae (このIDを非表示/違反報告)
るめ(プロフ) - ぽちさん» ぽちさん、こんばんは!コメントありがとうございます…!テテさんは好きになったらまっすぐに愛を伝えるタイプだったらいいなあという気持ちで書かせて頂きます。コメント、とても励みになります^^ これからもお時間ある時に読んでやって下さい。 (2019年4月24日 21時) (レス) id: c680f383ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るめ | 作成日時:2019年3月28日 10時