My Precious【TH】

22 JM ページ22

テヒョンの機嫌が分かりやすいくらいに良い。


今日は日本でのコンサートのリハーサル。数時間前に日本に到着して、その足のまま会場入りして、場当たり。普段のテヒョンは場当たりの時には本当にリハーサルはゆるい。ゆるすぎてマンネのジョングクに怒られるくらいには。


「テヒョンア」
「ん？なにジミナ？」
「いい事あった？」
「いひひ、秘密〜」


絶対いい事あったな。本当にこの親友は分かりやすい。分かりやすいくせに秘密を貫いてくるからちょっとムカついてみぞおちに蹴りを入れた。もちろん本気じゃないけど。


テヒョンはやめろと楽しそうに笑う。めっちゃ機嫌いいじゃん、今日。


場当たりでキレッキレに踊るテヒョンに、メンバーもスタッフも少し驚いている。特にジョングク。周りのリアクションなんて気にせず、テヒョンはそこら中にキラキラのイケメンパウダーを散らしながら踊る。


もう何年も一緒に過ごしてきて、ずっとお互いを見てきた。だから俺には、今のテヒョンがなんでこんなに楽しそうなのかはすぐに分かった。



テヒョンは今、恋をしている。



本人が気づいているかは別としてだけど。俺、テヒョンが自分から人を好きになるところ見たことないし。こんなに浮き足立つテヒョンも初めて見た。



テヒョン、気づいている？携帯を眺める表情がにやけすぎてすごいことになってるよ。時計をチラチラチェックしてるのは、この後の予定が楽しみすぎるから？


俺にすらまだ何も言わないで、テヒョンが独り占めしたいって思う人って一体どんな人なんだろうか。



「ジニヒョン！俺先シャワー浴びてもいいですか？」
「おー、別にいいよ」
「ありがとう！」


場当たりが終わってすぐにシャワー室へバタバタと走っていくテヒョン。そんなテヒョンを見て、まあいつもより汗かいたもんなあいつと呟くジニヒョン。


「……ジニヒョン」
「ヤー、何笑ってるのジミナ！」
「いや、なんでもないですよ」



鈍すぎる長兄に笑いながら、6人で楽屋に戻る。

テヒョンの楽しそうな姿を見て勘づいたメンバーは勘づいているけど、皆テヒョンを信じているし、テヒョンが防弾少年団を愛して真摯に向き合っていることも知っている。

だから、何も言わない。

皆のそんな気持ちが伝わってきて、俺はやっぱりこのグループが好きだと思った。



今のテヒョンに俺から何か言うとしたら、ひとつだけ。




俺はやっぱり、楽しそうなテヒョンアが一番好きだよ。

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