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末っ子の私を心配した親が、大学生になって一人暮らしをさせるならせめて綺麗でセキュリティがしっかりした、犯罪に巻き込まれることのないようなアパートに。と少々家賃の高い部屋を借りてくれた。
そんな親の気持ちを無下にするような行動を起こしてしまった自分をぶん殴ってやりたい。
今私は、名前も知らない男に出すための飲み物を準備している。
タスケテクダサイ、と言われた勢いで部屋に入れてしまって、男は私のお気に入りの人をダメにするソファに座っている。
帽子もマスクも取らない。余計に怪しい。
男に見えないように、キッチンで最近この一帯で起こった不審者に関係する事件をスマホで調べた。何もヒットしなかった。逆に怖い。
ぼーっと座る男に、あの…と声をかけるとハイ、と返事をしてくれた。今のうちに仲良くなって、命乞いでもしておいた方が良いのだろうか。
近づくことに恐怖を感じながら、ココアです、とマグカップを差し出した。
「あぁ…ありがとうごじゃいます」
ぺこりと頭を下げて、男はマグカップを私から受け取る。タスケテクダサイ、と声をかけられた時から思っていたが、この男は日本人ではないみたいだ。でも、日本語は話せる、と思う。意思疎通が出来ると仮定出来るだけでも、安心感はある。
というか、ココアを出してから思うのもなんなのだが、この男は一体いつまで私の部屋にいるつもりなのだろうか。というか、私は生きたままこの男を部屋から見送ることが出来るのだろうか。
調べても事件はヒットしなかった。きっと不審者じゃない。そう言い聞かせて、勇気を振り絞って声をもう一度かける。
「あの……、なんで、助けてって、」
「…ああ、ひとに、追いかけられてます。だから、逃げていました」
人に追いかけられている。その単語にびびる私。理由を聞いたら余計にやばかった。怯える私に気づいたのか、男はああ、とマグカップを持っていない方の手で否定するように手を振る。
「ぼく、こわい人じゃないです。ぼくのことを好きな人が、ぼくのこと、追いかけている」
その後に伝えたかった言葉が出てこないのか、男がうーん、と唸る。マスクで顔全体は見えないが、目だけで表情がコロコロ変わっているのが分かる。絆されているのか、なんなのか。そんなに悪い人には見えない、気もする。
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るめ(プロフ) - かなさん» かなさん、はじめまして!コメント嬉しいです^^* ぜひぜひ感想これからも聞かせてください。とっても励みになります。お待ちしてますね!笑 (2019年5月7日 13時) (レス) id: c680f383ae (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - はじめまして!この作品の更新をめちゃくちゃ楽しみにしてます!続きが気になってワクワクです笑 これからも応援してます!今後、何度かコメントしてしまうかもしれませんが、何卒よろしくお願いします笑笑 (2019年5月4日 0時) (レス) id: 5f98a825dd (このIDを非表示/違反報告)
るめ(プロフ) - ナナさん» ナナさん、コメントありがとうございます!きゅんきゅんすると言ってくださってとても嬉しいです^^* 励みになります!完結までまだまだ先は長いですがどうぞよろしくお願いします! (2019年5月4日 0時) (レス) id: c680f383ae (このIDを非表示/違反報告)
ナナ - この作品を読んでてとてもきゅんきゅんしました。テヒョンの行動や言葉がとても楽しみです。続き楽しみにしています。更新頑張ってください! (2019年5月3日 20時) (レス) id: 3d154645ae (このIDを非表示/違反報告)
るめ(プロフ) - ぽちさん» ぽちさん、こんばんは!コメントありがとうございます…!テテさんは好きになったらまっすぐに愛を伝えるタイプだったらいいなあという気持ちで書かせて頂きます。コメント、とても励みになります^^ これからもお時間ある時に読んでやって下さい。 (2019年4月24日 21時) (レス) id: c680f383ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るめ | 作成日時:2019年3月28日 10時