episode.29 ページ30
「俺は・・・」
((バタンッ
口を開こうとした瞬間、部屋の扉が開かれる
そして、
「零・・・」
そこには枕を持ってドアの前にたたずむ零の姿があった。
流れる沈黙。
「月希・・・」
晴の声は俺の言葉の続けを待つように優しく聞こえる。
「晴さんに教える必要がないと思ったからですよ」
俺はTシャツを取り、零のいるドアへ近づく。
零は、少し青ざめた顔で俺を見る。
「何を怒っているのか知りませんが、余計な詮索はしないで下さい。それじゃ、おやすみなさい」
零の横を通り、俺はそれだけを言い残して部屋を出た。
〜晴side〜
『晴さんに教える必要がないと思ったからですよ』
あの言葉は本気なのか?
「晴・・・」
「あぁ、零」
「すまない、俺がドアを開けたからだ
もう一度月希を呼んで来ようか?」
「いや。もういい」
罪悪感を感じているのか、零の顔色が悪い。
俺は「先に寝てな」と言って部屋を出て台所へ向かった。
リビングには、亜樹と蒔麻の真ん中でテレビを見ながら笑っている月希の姿が目に入ってきた。
アイツが俺のことを嫌っているのは明白だ。
もうアイツから歩み寄ってくることはないというのも分かってる。
なら、
「おい、月希」
「なんでしょう?」((ニコッ
いつも通りの笑顔で返事をする月希
「ちょっとこっちこい」
手招きして月希を台所へと呼ぶ。
「どうかしましたか?」
「服脱いで背中を向けろ」
月希は少し顔を歪ませながらも、俺の指示通りに服を脱いで背中を向けた。
青く痣ができている体。
俺は、その痣の所に湿布を貼って服を着せた。
「すみません、ありがとうございます」((ニコッ
丁寧に頭を下げてお礼を言う月希。
その笑顔は、一体誰にむけてなんだろう。
己の中に抱いた疑問を隠す様に、俺は月希の頭をポンポンと撫で「おやすみ」と言ってリビングをあとにした。
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悠優(プロフ) - すごく面白かった!!SUPERLOVERSの作品で、こんなにいいものに出会えたのは初めてです!男主君の感情に涙が出たり……。いつもすごい、更新と結末が楽しみで待ってました。続編も書いてくださるならば沢山読みます!! (2018年5月28日 5時) (レス) id: ff0955d0d1 (このIDを非表示/違反報告)
青(プロフ) - 続編もちろん希望です!SUPERLOVERSのあの焦れったい感じの雰囲気がすごく表現されてて、ユピノンさんの小説が大好きです^ ^ これから男主くんがどうなっていくのか、楽しみに続編期待してお待ちしてます!^ ^ (2018年5月28日 3時) (レス) id: a438011908 (このIDを非表示/違反報告)
レイン(プロフ) - 続き気になります!主人公と晴の関係も気になります!なので続編希望します! (2018年5月28日 3時) (レス) id: 3196a4c901 (このIDを非表示/違反報告)
サイコパス(プロフ) - 凄い気になる!続編待ってます!! (2018年5月28日 1時) (レス) id: d972e9a204 (このIDを非表示/違反報告)
玉子(プロフ) - とても楽しませてもらいました!本当にこの物語が大好きで続きもきになるので続編待ってます! (2018年5月28日 0時) (レス) id: ae214f582e (このIDを非表示/違反報告)
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