【SUPERLOVERS】孤独な仮面

episode.23 ページ24

顔を埋めながらため息をつく。








「本当に嫌になる」

「何が嫌になるんだ？」









え？








突然側から声が聞こえ、俺は勢いよく顔を上げる









そこにいたのは・・・









「・・・晴さん」









目の前に居たのは、俺が今考えていた人だった。









「幹子さんの会社に居るんじゃなかったのか？」

「それは・・・」









笑顔のない晴の顔。









怒っているのが丸わかりだ。









「今から行くつもりだったんです
晴さんは、こんな時間にどうしたんですか？
散歩、とかですか？」

「お前、それ本気で言ってる？」









俺を探してた事なんて分かってる。









分かってはいるけど・・・









分かってても言えない。









「本気ですけど？」









二人の間に流れる沈黙。









それは今までとは少し違う重たいものがあって。









「とにかく話は後だ。家に帰るぞ」









怒りながらも、座っている俺に手を伸ばしてくれる晴。









謝らなきゃいけない。









昔みたいに戻る為には・・・









昔みたいに、また・・・・









"また"なんだ？









俺は一体何を求めてる。









もう昔の自分じゃない。









カナダに戻ったのだって、









留学したのだって、









全部、









全部









晴を忘れる為じゃないか。









なのに何で、また昔みたいに戻りたいと願ってしまうんだ。









本当の自分を見せてない俺が、この手を取る事なんて許されない。









この手をとっていいのは俺じゃない。









俺に、そんな権利なんてない。









伸ばされた手を避け、俺は立ち上がり笑顔を見せた。

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