【SUPERLOVERS】孤独な仮面

episode.21 ページ22

「此処に住まないつもりか？」







穢れのない真っ直ぐな目が俺を捉える。









本当に嫌いだ。









この目も、









零自身も。









「そうだよ。だから、そこを退いてくれるかな？」









横を通ろうとすると、零が俺の前に立ち、俺を見上げた。









「何がそんなに怖い？」

「は？」

「怖いから、そうやって逃げようとするんだろう？
怖いから背を向けるんだろう？
俺はずっと月希の側にいたから分かる」









分かる？









一体何が？









俺のこと何も知らないお前に、









一体何が分かるって言うんだ。









「零は何も分かってないよ
僕のことも、世の中のこともね」((ﾆｺｯ

「確かに、周りが言う常識や普通の事について、俺はまだ理解出来ていないことが多い。
でも、月希と俺は施設でずっと一緒に居た。
ずっと月希の背中を見てきた。
他の奴よりかは、月希のことを分かっているつもりだ。」









悪気のない顔で、真っ直ぐな言葉を投げてくる。









「だから・・・「じゃ〜さ」」









零の言葉に被せるように、俺は口を開いた。









「じゃあ、質問させてもらうけど。
僕のことを見ていたから何だっていうのかな？」









零に近づき、顔を覗き込む。









「零のそういう真っ直ぐな所、凄く良いと思うよ
でもさ、"自分は全部分かってる"とか"自分が誰よりも理解している"だとか、そういう言葉を気軽に言ってはいけないよ。
その言葉を聞いて全員が良い気分になるとは限らないからね」








零の頭にポンポンと手を置き、俺は靴を履いて家を出た。









真っ暗な道。









街灯がチカチカと点滅する暗い道を一人で歩き進める。









零も本当に何も変わってない。









『何がそんなに怖い』









何でも見透かす様な真っ直ぐな目で、









『怖いから逃げるんだろ？』









冷たさのまじる、あの声で。









「だから嫌いなんだ。」









育った環境だって同じで、









周りからの評価も様々な能力も、全部俺の方が上なのに、









俺が持っていないものを全て持ってる。









「本当に気に食わない」

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