御伽噺�� Asano ページ17
ねぇ聞いて、こんな御伽噺があるんだよ。
それでこの話には続きがあって…
その結末はまだ彼に伝えられていない。
数年ぶりに帰ってきた実家は何も変わっていなくて、変わったとすれば両親が少し小さくなったように感じたくらい。
きっとここにはまたしばらく来ないような気がして、左手にある違和感と共に1人で外を歩いた。
あ、ここの桜無くなっちゃったんだ。
1番大きな桜の木を見るのが好きだったのに、それが無くなってしまって時の流れを感じた。
それと同時によくこの桜の木を一緒に眺めていた人の事を思い出す。
いつまでもしこりのように私の心に居続けるのはどうしてだろう。
もう決めたことじゃないか。
その場から立ち去ろうと踵を返す。
「あれ、もしかしてA？」
「あ…」
振り向けば前と変わらない笑顔がそこにあった。
私は咄嗟に左手を隠し、そこにあった違和感を抜き取って右手へと移した。
「帰ってきてたんや」
「うん、ちょっと…実家に用があってね。拓磨こそ帰ってきてたんだね」
「立ち話もなんだし、時間ある？」
2人でカフェに入りお互いアイスコーヒーを頼んだ。
「サッカーの調子どう？」
「うーん、まだまだやなぁ。SNSでは、なんで代表なんや、とかいろいろ言われっぱなしや。まぁ自分でも情けないとは思うけど」
「なにそれ…拓磨がどれだけ頑張ってきたか知らないくせに！そんなの気にしなくていいよ！それに情けないなんてこと絶対にない、」
「ふっ、そうやってムキになるとこ変わっとらんな」
少し俯きながら拓磨は笑った。
「でもまあ、落ち込んでないって言ったら嘘になるけど、先に向けてどうしたいかはしっかり考えてるよ。次の代表も諦めてへんし」
常に前に向かって努力する。あの頃と変わらない拓磨のままだった。
私はそんな拓磨に憧れていたんだ。
店員さんが頼んでいたアイスコーヒーを2つ運んできた。
真っ黒な液体。中に何か入れてしまえばきっと見えない。
「結婚するん？」
アイスコーヒーを見つめていたら飛んできた言葉に心臓が音をたてた。
「え、なんで？」
「指輪」
そう言って拓磨は私の右手の薬指にある指輪を見た。
「違うよ、これ右手じゃん。あ、ガムシロいれるでしょ？」
記憶の中での拓磨はアイスコーヒーにはガムシロを入れていた。
なぜ今もそうだと思ったんだろう。
「あー、このまんまでええよ。Aは相変わらず甘くせんと飲めんのやな」
「そう、だね。相変わらずだね」
色の着いてしまったアイスコーヒーを見つめた。
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りょー(プロフ) - 葉瑠さん» ありがとうございます！全然大丈夫ですよ🫶🏻暇なときに書いてくださると嬉しいです！ (2023年1月4日 15時) (
レス) id: 499d00a8f3 (このIDを非表示/違反報告)
葉瑠(プロフ) - りょーさん» はじめまして！板倉選手ですね！お時間いただくと思いますので気長にお待ちいただけたら嬉しいです…！ (2023年1月4日 11時) (レス) id: 392653f59f (このIDを非表示/違反報告)
りょー(プロフ) - はじめまして！4番の板倉選手のリクエスト可能でしょうか、？シチュエーションはなんでもかまいません！ (2023年1月4日 11時) (レス) id: 499d00a8f3 (このIDを非表示/違反報告)
葉瑠(プロフ) - マイメロディさん» お待たせしております！まずは田中選手のお話しを書いてみました！気に入ってもらえたらなによりです🙏他のリクエストもお待ちください☺️ (2023年1月4日 10時) (レス) id: 392653f59f (このIDを非表示/違反報告)
葉瑠(プロフ) - ひーな@キーテイちゃんさん» またよろしくお願いします☺️ (2022年12月29日 23時) (レス) id: 392653f59f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葉瑠 | 作成日時：2022年12月7日 18時
