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それからというもの特に変わったこともなく
平凡に時は過ぎていた
俺にとっては変わらぬ日常
40歳を迎えた俺は
置いてきた記憶を見つけることもなかった
だから見つからない記憶からしたら
こんな俺が非日常なのかもしれない
ここ数年の話
俺は持ち前のデザインセンスを買われて
デザイナーとして活動していた
雑誌モデルの服やアイドルグループの衣装など手掛けていてついには自分のブランドを立ち上げるまでになった
友人のシゲは小説家で、その才能と整った顔立ちからか雑誌の取材を受けることも多く、現場でよく顔を合わせていた
そんなシゲの紹介で数ヶ月に一度
カウンセリングを受けにAと2人で人里離れた孤島の診療所へ通っていた
そこの小山先生にはとてもお世話になっている
俺が目覚めた時もそばにいてくれた先生だ
先生はカウンセラーになりたてらしいが
俺にとっては歳も近くなんとなく居心地がいい
先生の優しさからかなんでもすんなり話せた
時折、先生の表情が曇るのは見ないふりをしていたけれど
俺、やっぱり、なにかを忘れてるみたい…
ある日
いつものようにカウンセリングに行くと
先生のデスクにいつもは置いてなかった
写真立てが目に入った
Aは少し焦って隠そうとしたけど
もう遅くて、俺の目にはしっかりと映った
俺とシゲと小山先生と金髪の青年が4人で肩を組み微笑む写真が
この写真のこと
Aは教えてくれなくて
先生には
「こうやってまた出逢えたのも運命だね」
って誤魔化されて
以前俺らに交流があったことは明らかなのに
なんでみんな教えてくれないの？
誰にも聞こうと思わなかった
だって記憶がなくなったこと自体も医者からはなにも言われなくて
俺の生活に支障がでない限り詳しいことを教えてくれるつもりもないみたい
そもそも記憶がないと教えてくれたのは墓の青年だけだ
正直、それが本当かどうかも疑わしい
なにも知らないのが自分だけで
内心いらいらしないわけがなかった
だけど
それよりも
悲しい気持ちが上回っていたなんて
誰にも言えなかった
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はるぴぃ(プロフ) - compassさん» compass様はじめまして！そして素敵なコメントをありがとうございます(;_;) あたたかい言葉をいただけてほんとに嬉しいです！ここでの出逢いに感謝です！！ (2017年7月30日 16時) (
レス) id: 69edf73db9 (このIDを非表示/違反報告)
compass(プロフ) - 短編でここまで深く話に引き込まれたのは初めてです！皆の表情とかも浮かんできました。ほんとうにおもしろかったです！ (2017年7月23日 18時) (レス) id: f9a8798002 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるぴぃ | 作成日時：2017年7月1日 23時
