記憶の欠片

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無機質で殺風景な病室を抜け
診察室に入ると、医者の正面の椅子に座らされる




医者の口から出るのは俺を驚愕の地へと導く言葉たち




どうやら俺は事故にあったらしい

それも結構大きな事故に巻き込まれたみたい






だけど全然覚えてない






半年間も意識がなかっただなんて

信じられないな






寝たきり？

そりゃ、身体中痛いわけだ





『目覚めたのはほんとに奇跡です』



なんて言われたら

その逆を想像してしまって



もしも目覚めなかったら…？



なんて思うと

ただただ恐ろしかった









半年間の眠りから覚めたのはみんなが傍に居てくれた時だった



みんなっていうのは

毎日欠かさずお見舞いに来てくれていた恋人のAと、友達のシゲ


あと…シゲといつも一緒にいたカウンセラーの小山先生



目覚めた時
3人とも泣いていた






俺のことであんたが泣くなんておかしいだろ？

そう思いながらシゲの友達をみる

小山先生って呼ぶとこの人は悲しい顔をするんだ






だけど…

俺はこの人に初めて会ったんだもん

気安く呼べるかよ







「まっすー、僕のことわからないの？」



そんなこと…言われたって…



「ごめんなさい…」




謝罪の言葉が自然と口からでてきた





そのあとなにを言われてたか正直覚えてない






だけど俺のせいでこの人が悲しい思いをしているのは痛いほどわかったから、ごめんなさいの言葉しかでてこなかった




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