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194、ただいま ページ49

『どうしよう…』



Aは細かく震えていた。
何故なら、とても緊張していたから。
目の前にあるのは待ちに待った武装探偵社の扉。



帰りたいと思っていた場所はすぐそこなのに、どうも緊張してしまうのだ。
転校生が初めてクラスに入るような感覚と似ている。



皆は母の過去と自分の本質を受け入れてくれるのだろうか。
それだけが心配で不安だった。



ドアノブに震える指先をかける。
未だに扉を開ける覚悟が出来ていないAだったが、心の準備をする時間は与えられなかった。



何故なら、ドアノブがぐるりと回ったからだ。
Aは回していない、それなら誰か。
不思議に思う間も与えられず、扉が開く。



「A!」



瞬間、全身に衝撃が走る。
誰かに抱きつかれたのだと理解し、思わず目を白黒させる。
長身の体、一房だけ伸びた金髪を結っている人物。
そんなの一人しかいない。



「お兄ちゃん…!」



国木田はAに抱きついたまま小さく声をこぼす。



「よく無事で…帰ってきたな」



「うん……うん。帰ってきたよ」



やっと帰ってこれのだ、探偵社に。
その安心感に、目の奥からじわりと温かいものが込み上げてくるのを感じた。



「二人共、再会を喜んでいるところ悪いけど、まずは中に入んな」



与謝野がひょっこりと現れる。
その顔には安堵が浮かんでいた。
探偵社の中に入ると、一番に抱きついてきたのはナオミだった。



「もう!Aさんったら、私がどれだけ心配したと思っていますの!?」



「ナオミ、心配かけてごめんね」



「私、もうAさんは帰ってこないかと…」



本当に良かった、そう言いながら涙を流すナオミ。
他の皆もホッとしたように微笑んでいる。



「Aちゃん」



名前を呼ばれ振り向くと、そこには太宰が立っていて。
皆待っていたよ、と微笑む。



「国木田くんなんて、Aちゃんが中々帰ってこないからって乱歩さんに詰め寄っていたのだよ?」



「ばっ、太宰!それは言うなとあれほど…!!」



いつもの雰囲気に、思わず笑みが溢れそうになる。
しかし一つ伝えなければならないことを思い出し、表情が固く強張った。



「あの!」



皆の視線がAに集まる。



「皆に、伝えないといけないことがあります」



奥歯を噛みしめる。
喉を上下させ、言葉を発する。
真実を、自分の本質を、話さなければならない。

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設定タグ:国木田独歩 , 文豪ストレイドッグス , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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ぺぽん(プロフ) - 。さん» 読んでくださりありがとうございます。読者様の言葉が制作するための活力になります!これからも頑張りますね💪 (7月4日 5時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
- とっても面白いですね!応援してます (7月4日 1時) (レス) @page36 id: 26c600857a (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - ココロさん» コメントありがとうございます🥹そんなこと言っていただけて、私の方こそ感謝でいっぱいです!これからもこの作品をよろしくお願い致します🙇 (7月3日 8時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
ココロ(プロフ) - ぺぽんさん» 私こそペぽん様に感謝しかありません!こんな素晴らしい作品を書いて頂いて....  ペぽん様のペースで良いので、更新頑張ってください(´・ω・`)これからも応援してます(*⌒▽⌒*) (7月3日 7時) (レス) @page36 id: e073f8258e (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - ココロさん» コメントありがとうございます、とっても嬉しいです🥰これからも皆様に楽しんでいただけるよう、全力を尽くしますね! (5月30日 20時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぺぽん | 作成日時:2023年2月18日 20時

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