192、黒い天使の秘密 ページ47
光を取り戻したAの瞳を見て、フョードルは感動したように目を見開いた。
「一人でここまで這い上がりましたか。素晴らしい」
しかし、フョードルは余裕な笑みを崩さない。
「貴女、黒い天使のことをどこまで知ったのですか?」
少女を一人にしたあの短時間で、一体どこまでの情報を仕入れたのか。
その質問に、Aはハッキリと答えた。
「全て分かった。私の母親の名前も、生涯も、そして…母が"死んだ理由"も」
「ほう?」
「私の母親の名は"
そして、母はかつて、死の家の鼠…"貴方の仲間"だった。違う?」
Aがフョードルを鋭く睨むと、フョードルはどこか諦めたような表情を滲ませた。
「そこまで分かってしまいましたか…。もう此方側に引き入れるのは難しそうですね」
肩をすくめて微笑むフョードルの心情は読めない。一方Aは、少しの隙も見せずにフョードルを睨んでいる。
「それともう一つ。
『鴉』に私の存在を教えたのはフョードル、貴方じゃない?」
「…理由を聞いても?」
「私の母の写真を見せた時、貴方は言った。
『容姿も似ているとは。尚更"彼女ら"の復讐心を掻き立てるのでしょうね』」
フョードルはゆっくりと目を見開く。
「その発言で怪しいと思ったの。『鴉』に会ったことがない筈の貴方。なのに、どうしてその長が『女』だと分かったの?」
「ふふっ…くくく…」
フョードルは面白いというように口元に手を当てて笑い出した。
僕の負けです、とフョードルは、いっそ清々しい表情を見せる。
「あの言葉で見破られるとは。油断しました」
「それともう一つ、確認したいことがある」
Aの握った拳が震える。
最後にもう一つ、どうしても聞きたいことがあるのだ。
Aは静かに息を吸い、吐くのと同時に太もものホルスターから素早く拳銃を抜いた。
真っ直ぐフョードルの眉間に狙いを定める。
フョードルは、おやおやと楽しそうに両手を上げた。
「私の母、百合を"殺したのは"貴方?」
これは疑問ではない、確認だ。
「本当のことを教えて」
Aの声は心なしか震えていた。
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ぺぽん(プロフ) - 。さん» 読んでくださりありがとうございます。読者様の言葉が制作するための活力になります!これからも頑張りますね💪 (7月4日 5時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
。 - とっても面白いですね!応援してます (7月4日 1時) (レス) @page36 id: 26c600857a (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - ココロさん» コメントありがとうございます🥹そんなこと言っていただけて、私の方こそ感謝でいっぱいです!これからもこの作品をよろしくお願い致します🙇 (7月3日 8時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
ココロ(プロフ) - ぺぽんさん» 私こそペぽん様に感謝しかありません!こんな素晴らしい作品を書いて頂いて.... ペぽん様のペースで良いので、更新頑張ってください(´・ω・`)これからも応援してます(*⌒▽⌒*) (7月3日 7時) (レス) @page36 id: e073f8258e (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - ココロさん» コメントありがとうございます、とっても嬉しいです🥰これからも皆様に楽しんでいただけるよう、全力を尽くしますね! (5月30日 20時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぺぽん | 作成日時:2023年2月18日 20時