188、母の肖像 ページ43
窓も時計も無く薄暗い部屋に、カタカタとキーボードを叩く音だけが響く。
いくつものモニターを操作するフョードル、そしてその後ろ姿を虚ろな目で見つめているA。
「貴女、母親の写真を見たことがないでしょう？」
フョードルが流れるようにEnterKeyを押すと、大きな画面に二つの画像が映し出された。
一つはセピア色の画像、もう一つは色付きの画像。
フョードルは写真を一瞥しながら言った。
「色付きの画像は貴女の写真です。そして、このセピア色の画像は二十年前に撮られた…」
「私の、母？」
「ええ、そうです」
肯定するように微笑むフョードルの脇をすり抜け、Aは映し出された画像を見つめる。
「これが…お母さん」
静かに呟く少女の声に、フョードルは満足げに頷く。
「貴女と瓜二つでしょう。これは黒い天使が十八の時の写真ですが……見覚えはありますか？」
Aは一瞬何かを考えた後、小さく首を振る。
「全くない」
「…そうですか」
フョードルは悲しそうな口振りで言ったが、その口元には笑みが浮かんだままだ。
「貴女が『鴉』に襲われるのは黒い天使と同じ異能力を持っているからですが…容姿も似ているとは。尚更彼女らの復讐心を掻き立てるのでしょうね」
少女は何も返さない。
その様子を見て、フョードルは更に笑みを深めた。
「安心してください。僕の仲間になったからには、必ず貴女を守りますから」
コクリと頷くAの肩をフョードルは抱き寄せる。
抵抗一つしない彼女の金色の髪を、赤子をあやすようにそっと撫でた。
それは一瞬にも、はたまた永遠にも感じられる時間だったが、フョードルはAの頭から手を離すと紫色の瞳を柔らかく細めた。
「お茶にしましょうか？」
「……別に。どっちでもいいけど」
淡々と答える少女にフョードルは怒ることもせず、静かに部屋から出て行った。
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ぺぽん(プロフ) - 。さん» 読んでくださりありがとうございます。読者様の言葉が制作するための活力になります！これからも頑張りますね💪 (7月4日 5時) (
レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
。 - とっても面白いですね！応援してます (7月4日 1時) (レス) @page36 id: 26c600857a (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - ココロさん» コメントありがとうございます🥹そんなこと言っていただけて、私の方こそ感謝でいっぱいです！これからもこの作品をよろしくお願い致します🙇 (7月3日 8時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
ココロ(プロフ) - ぺぽんさん» 私こそペぽん様に感謝しかありません！こんな素晴らしい作品を書いて頂いて.... ペぽん様のペースで良いので、更新頑張ってください(´･ω･｀)これからも応援してます(*⌒▽⌒*) (7月3日 7時) (レス) @page36 id: e073f8258e (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - ココロさん» コメントありがとうございます、とっても嬉しいです🥰これからも皆様に楽しんでいただけるよう、全力を尽くしますね！ (5月30日 20時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺぽん | 作成日時：2023年2月18日 20時
